イランはなぜ軍隊がふたつ? 国軍とは別に陸海空戦力を揃えるイスラム革命防衛隊とは

背景に1979年のイラン革命 政変時に「軍」はどうなる?

 共和国軍は革命防衛隊より大規模であり、推定35万の兵力と陸軍、海軍、空軍、防空軍を持ち、多くの国に見られるような、国の防衛を主任務とする「国軍」に相当する存在です。かつての帝国軍の流れを汲み、革命後は多くの将校が大規模な粛清の被害者となりました。

 ただ、イラン革命直後に勃発したイラクとの戦争において、素人同然の速成将校では兵器を扱えず指揮も不可能であるなど機能不全を引き起こしたため、投獄されていた旧帝国軍将校の多くが現役に復帰します

 一方の革命防衛隊は、イラン革命後に国内および政権の維持を目的に組織されました。端的に言ってしまえば、旧帝国軍である共和国軍の離反とクーデターへの備えが革命防衛隊です。そのため、革命防衛隊は共和国軍より小規模であるものの、カウンターとして十分すぎる推定19万の大兵力を有しています。

 イランのように、国軍に対する抑えとしてもうひとつの軍隊を持つ例は珍しくなく、イラクにおいても旧フセイン政権時代は「共和国防衛隊」と呼ばれる組織が存在したほか、現在も「内務省軍」「国内軍」など名称は様々ながら、いくつかの国において同様の例が見られます。

 こうしたなかにあっても、イランの革命防衛隊は特に大規模であり、陸上部隊だけではなく独自の空軍や海軍、民兵組織さえ保有しています。空軍はロシア製のIl-76大型輸送機やMi-171汎用ヘリコプターなどの輸送機のみならず、Su-22可変後退翼戦闘機さえ保有し、合計100機近い規模を誇ります。

【写真】革命防衛隊も保有するSu-22(同型機)

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