【空から撮った鉄道】鉄道発祥の国イギリス 遊覧飛行でロンドンの鉄道を空撮する

イギリスは鉄道発祥の国。初めてのイギリス撮影のとき、鉄道発祥の国の鉄道を空撮したくなり、チャーターではなく遊覧飛行のヘリコプターでロンドンの鉄道を捉えました。

初めてのイギリスは、片言英語で四苦八苦

 いま、イギリスはEU離脱が正式に決定し、新たな時代へと揺れ動いています。そんなことになるとは全く想像すらしていなかった7年前の2013(平成25)年、イギリスに初めて行きました。鉄道発祥の国というのは皆さんご存知でしょう。発祥の地域はロンドンではなくリバブールとマンチェスターですが、そんなことは置いといて、100年、ときにはそれ以前から残存する設備が今もなお現役なイギリスの鉄道に目を丸くし、あちこち撮影していました。

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デルタ状のサウスイースタン鉄道Hither Green(ヒダー・グリーン)駅。グリニッジ天文台の南にある(2013年7月17日、吉永陽一撮影)。

 撮影していくうちに、やはり私らしい「視点」が欲しくなりました。空撮ですね。しかしコーディネーターもいなければ、事前準備もしていません。全くの行き当たりばったりです。とりあえず文明の力を借りて、スマホやネットでロンドン郊外の飛行場を見つけて、航空会社を調べます。

 これが厄介でした。小型機やヘリの離発着する小飛行場はロンドン周辺に点在し、現地で仕入れた空港の資料を見ると6カ所あります。ロンドン中心部から比較的アクセスが良いところを探すと「Redhill Aerodrome(レッドヒル・エアロドローム)」がありました。「Aerodrome」とは、いわゆる飛行場のことを言います。

 時間があったので、まず下見に行きます。London Victoria(ロンドン・ヴィクトリア)駅からガトウィック空港方面へ行く「Sothern(サザン)」 が運行する路線を使ってRedhill(レッドヒル)駅まで南下。乗り換えて次の駅Nutfield(ナットフィールド)で下車。そこからひたすら歩いて「Redhill Aerodrome」へ到着しました。あとは空撮チャーターできる航空会社を探せばいいのですが、英語が片言なので四苦八苦しました(笑)。

 セスナ機のある会社をノックすると、優しくて親切な初老男性が「この飛行場は戦争中スピットファイア戦闘機の基地だったんだ。」と雑談しながら、「ロンドン中心部はセスナ機が飛べず、ヘリになる。」と、遊覧飛行会社を教えてくれました。数年後に再びロンドンを訪れた際、現地のパイロットが教えてくれたのですが、ロンドン中心部は双発機以上の航空機ではないと進入できないとか。国が違うとルールも異なるのですね。

 教えてくれたヘリ遊覧飛行会社を訪れると、数日後なら空きがあるとのことで、日を改めました。これくらいのやり取りも、英語が片言だと大変です。どっと疲れました。

 数日後、ロンドンは雨ばかりとはいいながら、幸いにも快晴でした。ヘリはパイロット込みの6人乗りAS350。後部座席は4人なので、真ん中に座ると窓から撮影できません。パイロットによる注意喚起のあと(何言ってるか分からなかった……)、ヘリに乗るときはカップルと老夫婦が一緒です。後部席に座る老夫婦に挨拶すると、旦那さんがカメラを首からかけていたので、これは撮影するだろうと思ったら案の定(笑)。お互いに示し合わせて両サイドの窓側に座りました。運がよかったです。

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Hither Green(ヒダー・グリーン)駅のデルタ内には貨車や工事用車両が留置されている(2013年7月17日、吉永陽一撮影)。

 遊覧飛行では窓越しの撮影になります。少しでも窓が歪んだり、レンズが窓に対して斜めに構えたりすると、画像の端がボケてしまいます。窓はちょっと濃い色なので、ホワイトバランスはオート。RAWで撮影し、後処理で色味を変えることにしました。撮影時もなるべくレンズは窓と並行にして、服は窓に反射する白系ではなく黒にし、ときにはパーカーなどでカメラを覆うと変な反射が出にくいです。遊覧飛行や旅客機内から撮影する際の参考にしてください。

 飛行コースは決まっています。私がチョイスしたのはテムズ川の真上を飛行するコース。鉄道はテムズ川の両サイドにあるので、どこかは撮れるはずと思ってこのコースにしました。

 ヘリは離陸後北上し、GMT標準時のグリニッジ天文台をかすめてテムズ川へ出ます。速度は意外と早く、さくさくと進むものだから場所を確認していると撮影チャンスを逃してしまいます。ですので、とりあえず鉄道や有名な建築物を視認してはシャッターを切りました。

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DLR(ドックランズ・ライト・レイルウェイ)のMudchute(マッドシュート)駅上空。ここはテムズ川に突き出す半島Isle of dog’s(アイル・オブ・ドッグズ)エリアとなる(2013年7月17日、吉永陽一撮影)。

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Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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