悪天候の着陸 するかどうかの決め方は? 多い時期や地域特有の事情 JACパイロットに聞く
現役のJACパイロットに「悪天候」について聞いてみた
――飛行に影響を与えるような「悪天候」は、どのような時期に多いのでしょうか。
日本には四季があり、それぞれ天気にも特徴がありますが、季節の移り変わりに現れる前線(暖かい空気と冷たい空気の境目)の中での運航は、見通せる距離が短くなることがあるほか、突然風向きや風速が変わることも考えられます。風の影響は飛行機には大きく、強風時は気流の変化が進入角度やスピードに影響し、安定した進入が維持できず、場合によっては安全のために着陸復航を強いられることもあります。
ちなみにJACのホームである鹿児島空港は、活火山である桜島や霧島連山が近く、その近さは世界中でもとても珍しいものです。このことから、火山灰による飛行への影響を避けるため、鹿児島空港を離着陸するときは、常に最新の火山灰や風の情報を入手し、必要に応じて飛行経路を変更するなど、特有の対応を行うこともあります。
――JACが現在就航している空港のなかで、いわゆる「難所」ともいえるのは、どの空港なのでしょうか。
便数が比較的多いので意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、屋久島空港での運航には特に気を使います。ここには九州で最も高い標高1936mの宮之浦岳があり、この地形的影響で、屋久島で進入や着陸を行う際は気流が乱れていることが多く、ほかの空港以上に着陸するまで自然と気を張っていると感じます。
※ ※ ※
なお、先述の漫画『空の上の航空教室』で、JACのホームである鹿児島空港ではなく、隠岐空港を例に解説していたのは、利用者からJACへ届いた手紙をもとにしたエピソードだからです。
手紙には、高校受験のため隠岐へ向かう女の子とその父親の乗る便が、大荒れの天候下、一度は着陸復航しつつも隠岐空港へ着陸、女の子は無事受験でき、これに合格した旨が綴られ、機長への感謝の言葉が述べられています。
【了】
※誤字を修正しました(5月7日9時00分)。
> MAP(Missd Approach Point)
Missed Approach Point
ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。