【空から撮った鉄道】闇夜を走る「都電」の情景 昼間とは違ったその世界

前回は都電の荒川車庫と併用軌道区間を紹介しました。今回は同じ場所で撮影した夜の情景をお見せします。昼と夜は空からでも違う世界に見えます。前回の記事で掲載した写真と比較しながらご覧ください。

夜の空撮は、明かりがある場所以外は漆黒の闇

 空撮は日中ばかりではありません。時には薄暮や夜の空撮もあります。このシリーズでは日中の空撮を紹介してきましたが、今回は夜の空撮をお見せします。昼と夜とは同じ場所でも見え方が異なるので大変面白いです。展望台に上がって、昼と夜とでは景色が違って見えますよね。それと似たようなものです。

 前回の都電空撮は2012(平成24)年でした。それから時は下って2020年の冬。夜の空撮は依頼ではなく自分のストック用です。ヘリコプターのほうがホバリング可能なので、少々値は張るけれどもヘリをチャーターしました。

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荒川車庫(荒川電車営業所)の全景。建屋の屋根から光がこぼれているのがわかる。荒川線の荒川車庫前電停は電球色の照明で照らされている。最近の照明は鮮やかな色味だなと再発見した(2020年1月24日、吉永陽一撮影)。

 夜の空撮は雲影こそ気にならないけれども、雲が低かったり視程が悪かったりすると、せっかくの夜景もモヤっとして台無しです。空気の澄んだ日を選びました。気をつけなければいけないのは、日没が日増しに早くなるので、撮影日の日没時間をチェックすること。昼間よりかなり冷え込むため、機材を持ちやすい手袋をしながら防寒対策をしっかりすることです。何せ窓は開けっぱなしですから、ちょっとした冬山登山をする気持ちで撮影に挑みます。日没時間に合わせて飛ぶため、どの場所が薄暮のブルーモーメントに適しているか考えながら、撮影順序を決めていきます。

 薄暮を狙うタイミングでJR貨物の隅田川駅から撮影を開始しました。隅田川駅と荒川車庫(荒川電車営業所)まではわずか1分ほどで着きます。夜の空撮は明かりがある場所以外は漆黒の闇になるため、シャドー部をどこまで落とすか、あるいは明るくするか考えながら撮影しました。フレーミングや距離感の感覚もシャドー部が多いため日中と比べて掴みづらい。引いたり寄ったりとヘリを微調整してもらいながら試行錯誤します。

 カメラは高感度に強い機種をチョイス。ISO51200で高速シャッターを切ることができます。フィルム時代ではあり得ない撮影で「こんなに撮影スタイルが変わるとはなぁ」と舌を巻きました。ヘリはホバリングできるとはいえ、風が強かったためそこそこ揺れます。油断しているとブレてしまうので、昼の撮影以上に気を使います。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

 
    
 
    

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