なぜ首都高は「予防的通行止め」を行うのか? 雪など自然災害との闘いを補修基地で聞いた! 100万台の命を守るインフラの舞台裏とは〈PR〉
「なぜ雪で通行止めになる?」「もし大地震が起きたら?」――首都高に関する疑問を、YouTuberがみ氏が防災対策課長にぶつけました。横浜市にある「首都高生麦補修基地」で見えた、1日約100万台を支えるプロの使命と最新技術、そして災害時の「命の道」確保の全貌をお伝えします。
震度5強で即通行止めに! 命の道を開く「道路啓開」とは
基地で実動部隊の車両を目の当たりにしたがみ氏は、首都高が直面する「災害リスク」への備えについて、同社の長岡秀彦防災対策課長に問いかけます。
地震大国・日本において、首都高はどう備えているのでしょうか。
●がみ氏: 首都直下地震なども懸念されるなか、地震対策ではどういったところに力点を置いているのでしょうか?
●長岡課長: 最優先事項として「お客さま等の安全確保と二次災害の防止」「緊急交通路および緊急輸送道路としての機能確保による災害救助・復旧活動への貢献」「早期開放による暮らしと経済の復興への貢献」を定めています。特に救助・復旧活動に貢献するため、緊急交通路としての機能を確保する、「道路啓開」が極めて重要です。
「道路啓開」――あまり耳なじみのない言葉かもしれません。これは、緊急車両等の通行のため、早急に放置車両等の移動を行い、簡易な段差修正等により救援ルートを開けることを指します。
首都高では、地震で路面に段差ができたり、放置車両が道をふさいだりする状況を想定し、軽量土のうやスロープ板などの専用資機材を用いて段差を解消したり、各タイヤの下に設置するローラー付きの「ゴージャッキ」と呼ばれるジャッキを用いて放置車両を移動させる訓練を日々重ねています。
●がみ氏: 発災した直後、道路の状況はどうやって確認するのですか?
●長岡課長: 震度5強以上の地震を観測した場合は、ただちに通行止めを実施します。その上でパトロールカーによる点検を行うほか、高架下からも徒歩や自転車を使って、被災状況をくまなく確認します。
●がみ氏: ハイテクなシステムだけでなく、最後はやはり“人の目”によるつぶさな確認が重要なんですね。
がみ氏の質問は、ここから気象がもたらす道路交通への影響に移ります。
ゲリラ豪雨と物流の板挟み 事前の「情報発信」が鍵となる
話題は、近年増加しているゲリラ豪雨(集中豪雨)や、冬季の降雪による交通への障害についてです。
●がみ氏: 最近はゲリラ豪雨も多いですが、首都高ではどう対応されていますか?
●長岡課長: 短時間での猛烈な雨の場合、道路脇の排水溝に枯れ葉などが詰まり、排水が追いつかず路面に水がたまる「滞水」が発生するリスクがあります。首都高では日頃から排水施設の点検を行っていますが、危険と判断した場合は、安全確保のために通行止めを行わざるを得ません。
●がみ氏: 突然の通行止めは、物流への影響も大きそうですね。
●長岡課長: おっしゃる通りです。そのため、台風のようにある程度予測ができる災害については、事前に「大雨や強風の予報」と「通行止めの可能性」を広報しています。そうすることで、運送事業者さまが配送時間をずらしたり、ルートを変更したりといった調整が可能になり、社会経済活動への影響を最小限に抑えるよう配慮しています。
雪に弱いと言われる理由と、「予防的通行止め」の必要性
そして話は、冬の首都高の最大の課題、「雪対策」へと深掘りしていきます。
●がみ氏: 首都高は「雪に弱い」というイメージを持たれることがありますが、実際はどういった難しさがあるのでしょうか?
●長岡課長: 首都高の大きな特徴は、全線の多くが高架構造であることです。地上の道路と違い地熱が伝わらないため、気温が下がると路面温度が急激に低下し、凍結しやすくなります。さらに、都心部は路肩が狭いため、除雪した雪を置いておくスペースがありません。
●がみ氏: 雪を道路の脇に寄せるだけでは済まないんですね。
●長岡課長: はい。ダンプカーに雪を載せて外へ運び出す「排雪作業」が必要になります。そのため、車両のスタック(立ち往生)が発生する前に「予防的通行止め」を実施することがあります。
●がみ氏: 車両のスタックが起きる前に、あらかじめ止めてしまうのですね。
●長岡課長: おっしゃるとおりで、一定程度の降雪が予測されているときなど、スタックの発生前に判断します。
長時間のクルマの滞留や立ち往生が発生すると、ドライバーや同乗者の健康に悪影響を与え、場合によっては生死にかかわる事態ともなります。そのため首都高では、気象予測や交通状況等を総合的に判断します。気象状況により路面状況が悪化する前に、事故や車両滞留の発生を未然に防ぐため、安全第一を考え“予防的通行止め”の実施を検討、必要に応じて決定します。
●がみ氏: なるほど。早期の判断は、早期の回復のためでもある。そうした通行止めを防ぐには、路面への積雪の対策も必要だと思います。どのように対策しているのでしょうか?
●長岡課長: 降雪の予報が出ると、路面への積雪、凍結を防ぐため、塩水散布車の出動準備を進め、降雪開始前からの散布など、状況に応じて出動を指示します。
長岡課長が言及した「塩水散布車」が使う塩水は濃度約20%という非常に濃いもの(例えば、海水の塩分濃度は平均約3.5%)で、沿線の14か所にある専用の塩水プラントで生成されます。
出動した塩水散布車は、塩水が空になると塩水プラントで給水し、また路面へ散布を実施するという仕組みで、短時間で効率的な凍結防止措置をとれるようになっています。
●がみ氏: 先ほど塩水散布車の働きを実際に見せていただきましたが、単なる作業車としてではなく、効率的に積雪や凍結を防止するためのシステムとして動いているんですね。
●長岡課長: はい、塩水散布車のタンクが空で走る時間をできるだけ少なくするよう、それぞれの車両がどう走り、どこで塩水を給水するかはあらかじめ計画を立てています。また、塩水の効果を継続させるため、必要に応じて繰り返し散布することもあります。
●長岡課長: さらに、傾斜のきつい部分では塩水が流れてしまうため、固形の凍結防止剤も使用します。加えて除雪車やレッカー車を主要箇所に事前配置し、万一の積雪の除去、スタックしたクルマの救援などに迅速に対応します。スペースが限られる場所では、人力や小型の融雪融氷装置、砕氷融雪車なども駆使し、作業にあたります。
「命の道を守る」という覚悟
こうして現状の首都高がかかわる災害リスクへの対応について聞いたがみ氏は、あらためて首都高の今後の展望、そして首都高で働く人々のやりがいについても話を聞きます。
1日約100万台という膨大な命を預かるプレッシャー。それは計り知れないものです。
●長岡課長: 1日約100万台の交通量を支える首都高が止まれば、即座に都市機能がまひするという“怖さ”があります。私たちはこの重大な責務を全社員で共有し、安全を大前提に「いかに止めないか」「止まったとしても、いかに早く日常の交通に戻すか」に注力しています。
●長岡課長: 24時間365日、誰も見ていない時間帯でも道路を守り続けることが私たちの誇りであり、また交通障害が復旧し、日常の交通に戻る瞬間に立ち合えることが、私たちの最大のやりがいです。この冬の時期は、やはり降雪や凍結による通行止めからの復旧に尽力し、無事に交通開放ができたときは、ほっとする瞬間です。安全・安心が「当たり前」であり続けるために、土台を築いているという自負が、私たちにはあります。
長岡課長は、最後に利用者への切実な願いを語りました。
●長岡課長: 大きな地震などの災害発生時には、警察、消防、自衛隊などの緊急車両が、被災者の救命・救助、消火活動や支援物資の輸送のために出動しますが、首都高はそうした車両が迅速に目的地へ向かうための「緊急交通路」となります。この役割を十分に生かせるよう、地震の際は「ハザードランプを点灯して道路の左端に、左側に止められないときは、右端に安全に停止すること」「万が一、クルマを置いて避難するときは、カギをつけたままにしておくこと」などの御協力を、お客さまにお願いしています。
補修基地での実際の車両を前にした取材、そして長岡課長のインタビューを通じ、がみ氏は首都高の役割、そして首都高を“守る”人々の尽力に、あらためて理解を深めたようでした。
インタビューの最後に長岡課長は、首都高の将来像を次のように語ってくれました。
●長岡課長: 首都高は、首都圏のひと・まち・くらしを安全・円滑な首都高速道路ネットワークで結び、豊かで快適な社会の創造に貢献するため、安全・安心な道路をお客さまへ提供しておりますが、そのためには適時・適切な補修工事が欠かせません。より使いやすく安全な道路とするための工事に関わる規制へのご理解をいただければと思います。これから「100年先も豊かに進化し続ける首都圏」を目指し、首都高グループ社員が一丸となって貢献して参りますので、一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
首都高では、現在も「東品川桟橋・鮫洲埋立部更新事業」など、大規模な更新工事が行われています。さらに新路線「新大宮上尾道路」の建設も本格化しています。
こうした既存道路の更新・改築、さらに新たな路線の建設を通じ、首都高がもたらす「100年先も豊かに進化し続ける首都圏」を、期待を持って見守っていきたいと思います。







