こんごう型後継のイージス艦にも搭載か 日本の空まもる高性能レーダー 「ココがスゴイ」をロッキード・マーティンに聞いた〈PR〉
日々脅威度が高まる日本周辺の安全保障環境。それに対応するため、最新鋭の高性能戦闘艦である「イージス・システム搭載艦」が海上自衛隊に配備されます。じつは、その戦闘能力のキモとなるのが、搭載する高性能レーダーである「SPY-7」です。その性能やメリットなどについて、これを製造するロッキード・マーティン社の幹部に伺いました。
日本向け最新レーダーが着々と製造
それでは、このSPY-7はどのように製造されているのでしょうか。
アメリカ東部のニュージャージー州にあるモーレスタウン、ここにロッキード・マーティンの一部門である「ロータリー・アンド・ミッション・システムズ(RMS)」の巨大な開発・製造施設があります。RMSは、ヘリコプター、統合防空・ミサイル防衛(IAMD)、沿海域戦闘、水中戦闘、電子戦、サイバー戦、C4ISR、そして訓練およびロジスティクスシステムなど、じつに1000個以上のプログラムを担当しています。
このモーレスタウンの施設では、SPY-7の開発、製造、試験、納品までを一貫して実施しています。
まず、施設の中核たる製造ラインで、SPY-7構成部品が次々に生産されます。続いて、それらと他の施設から搬入されてきた精密部品とが組み合わされ、レーダーとして機能する状態になったものが、製造ラインに隣接する「生産試験センター(PTC-2)」に運び込まれます。ここで、SPY-7はイージス・システムと実際に連接され、付近を飛行する航空機や宇宙空間を周回する衛星などを探知しつつ、問題点の有無などが最終的に確認されます。
こうして、イージス・システムと連接されることにより、実際に艦艇へと搭載された状態を再現できます。こうすることで、艦艇への搭載前に戦闘システムとの連動状態などを確認でき、スムーズな統合を実現できるわけです。この納品前の試験をロッキード・マーティンでは特に重視していると、マーシャル氏は語ります。
「われわれが採用している開発哲学のひとつに『少し作り、多く試し、そして多くを学ぶ(Build a little, test a lot, learn a lot)』というものがあります。これは、日本語で言えばまさに『ものづくりの精神』に通じるものです。能力や納入スケジュールを重視する一方で、納品前に厳しい試験を重ねることでリスクを最小化し、顧客に対して最高の品質を確実に届けることを常に優先します。日本がSPY-7の製造を私たちに託してくださったことを、大変重く受け止めています。私たちは必ず納期を守り、日本へ届いた時に確実に作動するシステムをお届けします」
その言葉通り、ASEV向けのSPY-7製造は、現在着実に進行しています。2025年7月には、ASEV 1番艦用のSPY-7全アンテナ(4面)が防衛省へと納入され、同年9月にはイージス・システムとの連接試験が開始されています。マーシャル氏によると、徹底的な試験が行われたのち、2026年にも日本へと輸送される予定です。また、2番艦用のSPY-7製造もスケジュール通り進められているとのことです。
着実に広がるSPY-7ファミリー
このように、優れた性能と特徴を有し、着実に製造されているSPY-7ですが、これが搭載される艦艇は日本のASEVだけではありません。
現在のところ、SPY-7はカナダ海軍およびスペイン海軍でそれぞれ就役予定の戦闘艦艇に搭載されることが決定しています。カナダ海軍では、十数隻が建造予定のリバー級駆逐艦にSPY-7(V)3が搭載されます。これは、現在運用されているハリファックス級フリゲートを置き換えるもので、1番艦の就役は2030年代初めごろになるとみられています。
一方、スペイン海軍では、5隻が建造予定のボニファス級フリゲートにSPY-7(V)2が搭載されます。これは、アメリカ海軍で運用されていたオリバー・ハザード・ペリー級のライセンス生産版であるサンタ・マリア級フリゲートを置き換えるものです。SPY-7の納入は2026年中、1番艦の就役は2028年が予定されています。
SPY-7は艦艇だけではなく、地上にも配備されています。アメリカの西太平洋における最重要軍事拠点であるグアムを防衛するため、アメリカ軍が現在急ピッチで進めている「グアム防衛システム(GDS)」用の長距離対空レーダーとして、SPY-7の地上配備型であるTPY-6が同島にすでに配備されているのです。
最近、これらSPY-7運用国である日本、カナダ、スペイン、そしてアメリカのあいだで「ユーザーズグループ」が設立されました。これは、SPY-7に関する運用データなどを共有することにより、何か問題が発生した時の迅速な対処や、知見の共有などをスムーズに行おうというもので、2025年3月には初会合が開催されました。
先述した通りSPY-7はサブアレイ・スイートと呼ばれる小型のレーダーを組み合わせることで構成されています。そこで、たとえば海上自衛隊の既存のイージス艦のうち、比較的艦齢の若いあたご型/まや型護衛艦のレーダーをSPY-7で置き換える、いわゆる「バックフィット改修」を行うことも可能でしょう。実際に、ロッキード・マーティンでは既存のイージス艦を改修しSPY-1レーダーを置き換えるためのモデルとして、SPY-7(V)5を用意しています。これについて、マーシャル氏は次のように説明します。
「SPY-7(V)5は、日本向けのバックフィット改修にとって非常に優れた選択肢になります。特にASEVとの共通性という観点で大きな利点があります。先ほど申し上げた通り、サイズや構成が異なる場合でも変わるのは外装部分であり、核心を成すサブアレイ・スイートは共通です。そこで、維持整備における共通性がメリットとして挙げられます。ASEVは海上自衛隊の将来の中核戦力となる旗艦的存在ですが、共通の整備基盤を有するSPY-7をASEV以外の艦艇用にも導入することにより、海上自衛隊が今後40年以上にわたって艦隊を運用していく中で、ライフサイクルコストを大幅に削減できるという利点があります。
また、サブアレイ・スイートの数を搭載艦の能力や性能に最適な形へと調整できるため、既存艦に対するバックフィットに際して電源供給や冷却能力といった艤装(ぎそう)、さらに艦橋構造を大きく改修する必要はありません」
このように、日本以外でも採用されているSPY-7ですが、そうなると気になるのはモーレスタウンの施設を含めた生産能力についてです。マーシャル氏によると、ロッキード・マーティンでは今後の需要増にも対応可能な生産能力をすでに確保しているといいます。
「現在、当社生産施設の稼働率は約30%で、十分な余剰能力があります。これは、SPY-7のベースとなっている『長距離識別レーダー(LRDR:アメリカ本土に飛来する弾道ミサイルを早期探知するための地上配備式大型レーダー)』製造の際に、サブアレイ・スイートの組み立てや構造体製作のための大規模な設備拡張と自動化・デジタル化投資を行ったためです。結果として、現在は複数顧客の同時生産を支えられる余裕があります」






