〈PR〉タモリさんも注目? なぜこんなにも魅力的なのか、近鉄・大和西大寺駅

大和西大寺駅という、「あること」で人気の高い近鉄の駅があります。「大和西大寺駅の20分間」を図にしてその理由を分析したところ、いくつものポイントが見えてきました。

「パズル」のような大和西大寺駅

 奈良県奈良市にある、近畿日本鉄道(近鉄)の大和西大寺駅。いまからおよそ1300年前に建設された平城京の中心、平城宮跡への最寄り駅として知られますが、鉄道ファンにも「あること」で人気が高く、テレビ番組『タモリ倶楽部』で採りあげられたこともあります。

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交通の要衝らしく、駅名標や乗り換え案内板の文字数が多い大和西大寺駅(2016年12月、恵 知仁撮影)。

 この駅が鉄道ファンの人気を集める理由は「平面交差」。近鉄の、京都駅と橿原神宮前駅を結ぶ京都・橿原線系統と、大阪方面と近鉄奈良駅を結ぶ奈良線が、この大和西大寺駅で交差するのです。

 ただ、平面交差の駅は珍しくありません。なぜそこで大和西大寺駅は、特に注目されるのでしょうか。

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南北に走る京都・橿原線系統と、東西に走る奈良線が平面で交差する大和西大寺駅(国土地理院の空中写真を加工)。

 平面交差駅において、たとえば南北方向に走る列車は東西方向に走る列車が「壁」になり、スムーズに進めないことがあります。列車が1時間に1本なら話は難しくありませんが、大和西大寺駅は列車が各方向へ数分ごとに頻発。それら多くの列車を「平面交差の壁」による影響を最小限に抑えつつ、走らせるため、大和西大寺駅では「パズル」のような「列車さばき」が行われており、それが鉄道ファンの人気を集めているのです。

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ポイントがいくつも連なる大和西大寺駅。写真は大和西大寺駅から橿原神宮駅方面を見たもの(2016年12月、恵 知仁撮影)。

 大和西大寺駅は、そうした「パズル」をうまくクリアすべく配線(線路の配置)が工夫されているのも見どころ。28器ものポイント(分岐器)を駆使した、とても複雑な配線になっています。列車がうねうねとポイントを渡りながら、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。どの線路へ入っていくのだろうかと、その姿を見ているだけでも面白いかもしれません。

図解! 大和西大寺駅の「列車さばき」

 そんな大和西大寺駅ではいったい、どのように「列車さばき」が行われているのか、土休日ダイヤの14時34分から53分までにおける20分間の様子を図で表しました。なお、この図は分りやすいよう簡略化されており、必ずしも実際の状況と合致するものではありません。

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京都・橿原線系統と奈良線が平面交差する大和西大寺駅、おおよその配線図。

 大和西大寺駅は、付近に車両基地(西大寺検車区)があるのもポイント。平面交差にそこへ出入りする車両が加わるためさらに「パズル」の難易度が高まっており、面白さも高めています。なお4番のりばと5番のりばは、1本の線路を両側から挟む構造です。

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土休日ダイヤ14時34分ごろの大和西大寺駅。

 14時34分、大和西大寺止まりの普通1341列車が、京都から1番のりばへ到着。そして向かいの2番のりばから、快速急行4431列車が近鉄奈良へ向けて発車します。4・6番のりばには、発車待ちの普通列車が停車中です。

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土休日ダイヤ14時35分ごろの大和西大寺駅。

 14時35分、大和西大寺止まりの普通1341列車が引上線へ入り、6番のりばから橿原神宮前行きの普通4481列車が発車しました。

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土休日ダイヤ14時36分ごろの大和西大寺駅。

 14時36分、車両基地から回送列車が2番のりばへ入ってきました。このとき注目なのが、この回送列車と橿原神宮前行きの普通4481列車、引上線に入った1341列車のルートが重ならないことです。

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土休日ダイヤ14時35分から36分ごろの大和西大寺駅。

 1分ごとの図では分りづらいため、14時35分から36分ごろの列車走行状況をまとめると、大阪難波行きの普通4472列車を含めた4本の列車それぞれ「進路」が確保され、同時に走行しています。さらに3番のりばから京都方面への「進路」もあり、列車を発車させることが可能です。

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車両基地側から2番のりばへ向かうべく、待機している回送列車(オレンジの車両)。左側には14時34分に発車した近鉄奈良行き快速急行が見える(2016年12月、恵 知仁撮影)。

 列車運行上のボトルネックになる平面交差。そこで「いかに列車をスムーズに運行できるか」はすなわち、「いかにうまく列車の進路を確保できるか」です。

 もし1本の列車が動いている途中、ほかの列車は動けない配線の駅だと運行の効率が悪く、多くの列車をさばくのは困難です。しかし大和西大寺駅はこのように、28器ものポイントを使い配線を工夫することで、同時にいくつもの「進路」を確保できる、つまり複数の列車が極力同時に進入、進出できるようにすることで多くの列車をさばいており、それが同駅の大きな特徴かつ魅力になっています。大和西大寺駅は列車が頻繁に、複雑に行き交い、それだけで面白いですが、どう「進路」を制御、構成し、列車をさばいているのかに注目すると、より楽しめるでしょう。

平面交差は「快感」に?

 ここまでの例は特に「平面交差」に由来する複雑さではありませんが、このあと、それをクリアするための列車さばきが見られます。

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土休日ダイヤ14時37分ごろの大和西大寺駅。

 14時37分、京都行きの急行1460列車が3番のりばに到着。

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土休日ダイヤ14時38分ごろの大和西大寺駅。

 14時38分、京都行きの急行1460列車が発車し、阪神電鉄の神戸三宮駅へ直通する近鉄奈良発の快速急行4432列車が4番のりばに到着。

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土休日ダイヤ14時39分ごろの大和西大寺駅。

 14時39分、回送列車が2番のりばから近鉄奈良へ向けて発車し、1番のりばには橿原神宮前行きの特急1419列車が到着。

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土休日ダイヤ14時40分ごろの大和西大寺駅。

 14時40分、京都行きの特急4418F列車が3番のりばへ到着すると同時に、橿原神宮前行きの特急1419列車が1番のりばを発車。60秒間の動きを1枚にまとめたこの図では特急1419列車が行く手を遮られているように見えますが、特急4418F列車が到着すると同時に「進路」が構成され、スムーズに特急1419列車が発車していく「列車さばき」が見事に決まると、気持ち良ささえ感じます。このとき、2番のりばへ近鉄奈良行きの区間準急7355列車が到着しているのもポイントです。

列車が停まっている線路へ、さらに列車が!

 このあと大和西大寺駅では、平面交差とあわせてある「技」も見られます。「併合」です。

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土休日ダイヤ14時41分ごろの大和西大寺駅。

 14時41分、特急1419列車が平面交差をクリアし、遠ざかっていきます。列車が複数停まっているものの、ホーム付近に動きはなく、静かになったように見えますが……。

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土休日ダイヤ14時42分ごろの大和西大寺駅。

 14時42分、あることが始まり、一転して慌ただしくなります。3番のりばへ橿原神宮前発京都行きの特急4418列車が到着。先に到着していた近鉄奈良発の特急4418F列車との連結作業(併合)が始まるのです。

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停車中の近鉄奈良発京都行き特急4418F列車に、橿原神宮前発京都行きの特急4418列車が接近。連結作業が始まる。奥には快速急行4432列車が(2016年12月、恵 知仁撮影)。

 多くの列車が平面交差を行き交うなか、列車の併合、そして逆に分割(切り離し)まで大和西大寺駅では行われており、これも同駅の魅力を高めている要因でしょう。

地味に効いている? 6番のりば

 こののちも、大和西大寺駅の「列車さばき」は続きます。

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土休日ダイヤ14時43分ごろの大和西大寺駅。

 14時43分、大和西大寺駅、一瞬の静寂。

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土休日ダイヤ14時44分ごろの大和西大寺駅。

 14時44分、4番のりばに車両基地から阪神電鉄へ直通する尼崎行きの区間準急7454列車が到着。そして再び、慌ただしくなります。

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土休日ダイヤ14時45分ごろの大和西大寺駅。

 14時45分、京都発橿原神宮前行きの急行1461列車が1番のりばに、大阪難波発近鉄奈良行きの急行1431列車が2番のりばに到着すると同時に反対方向へ、3番のりばから特急4418列車が京都へ、4番のりばから区間準急7454列車が尼崎へ発車。入れ替わるように列車が発着していくこの一連の動きがスムーズに決まったら、やはり気持ちよさそうです。

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土休日ダイヤ14時46分ごろの大和西大寺駅。

 14時46分、特急4418列車が平面交差をクリアし、遠ざかっていくとともに、1番のりばから急行1461列車が橿原神宮前へ向けて発車。

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土休日ダイヤ14時47分ごろの大和西大寺駅。

 14時47分、近鉄奈良行きの急行1431列車が2番のりばから発車し、6番のりばに大和西大寺止まりの普通4480列車が橿原神宮前から到着。この6番のりばは、大阪難波方面と近鉄奈良方面を結ぶ列車の影響を受けず、橿原神宮前方面へ列車を発着させられる構造になっています。

展望デッキから「うねうね」を

 大和西大寺駅には、その面白さを楽しめる展望デッキがあるのもポイントです。

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土休日ダイヤ14時48分ごろの大和西大寺駅。

 14時48分、4番のりばへ大阪難波行きの急行1434列車が到着。

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土休日ダイヤ14時49分ごろの大和西大寺駅。

 14時49分、3番のりばへ京都市営地下鉄に直通する国際会館行きの急行7470列車が到着。

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土休日ダイヤ14時50分ごろの大和西大寺駅。

 14時50分、3番のりばと4番のりばから同時に急行列車が発車し、あわせて2番のりばへ近鉄奈良行きの普通4375列車が到着。

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大和西大寺駅の3番のりばから京都方面へ(右の列車)、4番のりばから大阪難波方面へ(左の列車)の同時発車(2016年12月、恵 知仁撮影)。

 この隣同士の線路を使い、合わせるように編成をうねらせて列車が進む「同時発車」も大和西大寺駅の「名物」。同駅の京都・大阪難波側にある展望デッキからはそれが眺められ、子どもたちが楽しんでいる姿がよく見られます。この上の写真はそこから撮影したものです。

「止まり」と「発」

 大和西大寺駅の20分間もあと少しで終了ですが、見せ場はまだ続きます。

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土休日ダイヤ14時51分ごろの大和西大寺駅。

 14時51分、2番のりばから近鉄奈良行きの普通4375列車が発車。

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土休日ダイヤ14時52分ごろの大和西大寺駅。

 14時52分、2番のりばに神戸三宮からの快速急行4433列車が、3番のりばに引上線から京都行きの普通1444列車が、4番のりばに車両基地から大阪難波行き普通4474列車が到着。そして……。

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土休日ダイヤ14時53分ごろの大和西大寺駅。

 14時53分、1分前に到着した列車がそれぞれの目的地へ発車。大和西大寺駅は東から西へ、また南から北へと多くの列車が行き交うなか、同駅を始発・終着にする列車も多く、それもあわせて、引上線や車両基地を使いうまくさばいているのも特徴です。

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2番のりばから車両基地へ(左の列車)、車両基地から3番のりばへ(右の列車)同時に「進路」が構成され、列車が走る場合も(2016年12月、恵 知仁撮影)。

 列車を安全に、安定して、効率よく走らせるためには「進路」をいかに構成し、制御するかが重要なポイントで、大和西大寺駅はそれがよく分る場所といえるでしょう。

よくある運転シミュレーターとは似て非なるもの 「進路」に注目したアプリ

 さまざま存在する列車の運転シミュレーターは、「ダイヤに従い車両を走らせること」に注力されている場合が多いため、「進路」の重要さは分りにくいかもしれませんが、この「進路」に注目し、その面白さを「体感」できるものもあります。『TrainDriveATS』シリーズです。

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「平面交差」の醍醐味、「進路」の存在をプレイしながら実感できる『TrainDriveATS』シリーズ。画像は東武電鉄をモチーフにした『TrainDriveATS』。

『TrainDriveATS』シリーズはiOSに対応するアプリで、現在、東武鉄道をモデルにした『Train Drive ATS』と、京王電鉄をモデルにした『Train Drive ATS 2』がプレイ可能(ともにライト版あり)。累計ダウンロード数は合計で約600万に達しています。

 このアプリでは、プレイヤーが運転する列車のみならず、ほかの列車も走っており、たとえば自分が運転する列車が遅れるとほかの列車にそれが波及するなど、実際と同様の現象が発生。つまり単なる列車運転シミュレーターではなく、列車の「運行」がシミュレートされているのが『TrainDriveATS』シリーズの大きな特徴です。もちろんそこでは、この記事で述べたような平面交差や「進路」の確保が行われており、列車を運転しながら、その醍醐味(だいごみ)を楽しむことができます。

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進路表示(中央右)もできる『TrainDriveATS』シリーズ(画像は『2』)。このように運転とあわせて、複雑な、だからこそ面白い「進路」も分りやすく楽しみながらプレイできるのが、同シリーズの大きな特徴。

 また、この大和西大寺駅が登場する『Train Drive ATS 近鉄奈良線』の開発も、近鉄情報システム株式会社との共同で進行中。車両のみならず路線データや駅名、運行情報などの細部に至るまで近鉄奈良線がリアルに再現される予定で、登場は2017年夏ごろの見込み。いつでもどこでも、大和西大寺駅を楽しめることになりそうです(Android版もリリース予定)。

 ちなみに、自分の運転がほかの列車に影響を与えるこの『Train Drive ATS』シリーズ、自分が運転する列車をあえて中途半端なところで停車させ、しばらく放っておくとほかの列車はどうなるか、といったことも試すことができます。……大和西大寺駅でやったら、どうなってしまうのでしょうか。

【了】

iPhoneは米国および他の国々で登録された Apple Inc. の商標です。

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