【空から撮った鉄道】秋の深まるJR最高所地点を走る高原列車 小海線小淵沢~信濃川上間

小海線は八ヶ岳山麓の高原地帯を縫い、JR最高所の標高1375m地点を走る高原列車として、国鉄時代から有名なローカル線です。深まる紅葉のなか、白い気動車が走るシーンを数年間かけて撮影しました。2013年、2015年、2016年、2019年に撮影したカットを紹介します。

この記事の目次

・小淵沢~甲斐小泉間の大カーブは蒸気機関車が現役時代からの名撮影地
・線路の標高が高くなるにつれてこちらも高度を上げる
・高原列車のイメージが強いが甲斐大泉~清里間では深い谷を登る
・清里~野辺山~信濃川上間では高原の田園地帯をひた走る
・野辺山駅を発車すると一気に標高が下がる
・小海線を撮影するのは気流に苦労する
【画像枚数】全20枚

小淵沢~甲斐小泉間の大カーブは蒸気機関車が現役時代からの名撮影地

 山梨県のJR中央本線小淵沢駅と、長野県のしなの鉄道小諸駅を結ぶ小海線は、愛称を「八ヶ岳高原線」と称し、八ヶ岳麓の高原地帯を走りながら、清里駅、野辺山駅と観光客に人気の駅を通り、佐久市方面へと北上していきます。清里~野辺山間はJR最高所の標高1375m地点を通過し、隣の野辺山駅もJR最高所の駅です。

 小海線は鉄道ファンだけでなく観光客にも広く知られており、いまさら細かい説明は野暮でしょう。さすが高原路線というだけあって、標高1200m前後の大地の上を飛んでの空撮となります。小海線を撮り始めたのは2010(平成22)年からです。2013(平成25)年に空鉄本の第二弾『もっと空鉄』を制作するとき、巻末のページをどうするか悩んでいて、山梨県の空撮の帰りに小海線を撮ろうと小淵沢駅へ立ち寄ったところ、小淵沢~甲斐小泉間の通称「大カーブ」を行く列車が空撮できたのです。大カーブは、小淵沢から分岐した小海線が標高を稼ぎながら、大きな築堤で半円状にカーブします。SL(蒸気機関車)が現役だった昭和40年代は、C56形蒸気機関車の名撮影地のひとつとなり、現在も小海線を代表する撮影地として、訪れるファンは絶えません。

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小淵沢~甲斐小泉間の大カーブを行くキハ110系気動車。高速道路は中央道である。画面右上が小淵沢駅で、列車は標高を上げて清里方面へと向かう(2019年11月11日、吉永陽一撮影)。

 上空から見る大カーブは、遺跡か地上絵かと見違えるほど立派な半円で、思わず声を出してしまうほど感動しました。この大カーブの写真を見ていただくと、中央本線側は背の高い築堤なのに対し、北側の中央高速道路がある付近は掘割になっています。つまり、周囲の地形は高低差があって、斜面になっているのです。空撮は斜めから俯瞰して撮影するため、坂などもフラットに見えがちです。掲載した写真のように、線路が築堤から掘割へと連続している姿を見ると、なんとなく周囲が斜面なんだなぁと分かってきます。

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小淵沢駅から大カーブに差し掛かるまでは中央本線と併走する。運よくキハ110系と中央本線の115系下り列車との出会いを収めることができた(2013年10月31日、吉永陽一撮影)。

線路の標高が高くなるにつれてこちらも高度を上げる

 さて、国土地理院の地形図によると、小淵沢付近の標高は887m。線路は大カーブを曲がりながらどんどん登り、隣駅の甲斐小泉では標高1044mとなります。対してこちらはもっと高度は上なので、高度計では4000フィート(1300m前後)を越えています。小海線はさらに標高が高くなるから、こちらも高度を上げないと、どんどん線路へ近づいてしまうので、適度な高度を保ちながら眼下のキハ110系気動車を追います。山梨空撮との抱き合わせで撮影するため、季節はいつも秋です。紅葉が眩しく、キハ110系の白いボディと好対照です。毎年のように空撮していて、天候は高曇りの曇天や薄日が差す日が多く、それがかえって落葉樹のシットリ感が出てきて最良なコンディションでした。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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