リアル戦車乗り女子を直撃! 陸自初の小隊長と操縦手 女性も働く職場としての戦車部隊
一部を除きあらゆる職種における女性の起用が進む自衛隊ですが、戦車乗員も例外ではなく、女性の「戦車乗り」も増えています。北海道の戦車部隊で、射撃訓練に臨む陸上自衛隊初の女性戦車小隊長と戦車操縦手を取材しました。
北の大地で訓練に励む陸自史上初の女性戦車小隊長と操縦手を直撃
「女性が戦車に乗ること」には、さまざまな声が聞かれますが、いまや陸上自衛隊ではごく普通のこととなっています。2020年9月末、筆者(矢作真弓/武若雅哉:軍事フォトライター)が取材した北恵庭駐屯地(北海道恵庭市)の第7師団第72戦車連隊でも、女性だからといって特段変わったことはないということでした。
第72戦車連隊で女性初の戦車小隊長となった黒川 慈(めぐみ)3等陸尉は、「兄が陸上自衛官で、その影響もあり陸上自衛官への道を目指しました。戦車を希望した理由は、幹部候補生時代に見学した戦車部隊の乗員の方に、『戦車は3名から4名の乗員のチームワーク、一体感が強い職場』という説明を聞いて、戦車に乗りたいという強い気持ちが生まれました」と話します。その本人の希望と適性が合致したため、昨年(2019年)、北海道の戦車部隊に配置されることとなったのです。
そもそも戦車小隊長の役目は、最大4両の戦車を指揮しながら、自らが乗る戦車の指揮も執ります。また、取り扱う無線は自らの小隊内で使用する無線系統と、上級部隊である中隊内の無線系統の最大2系統を扱いながら、さらに自身が乗っている戦車の車内通話も行います。つまり戦車小隊長とは、最前線で小隊を指揮しつつ、聖徳太子のように様々な方向から飛んでくる声を聴き分け、適切な指示、命令を下さなければならない厳しい立場の職であるともいえます。
そのような職域で奮闘する黒川3尉ですが、部隊での評判はすこぶる良いものでした。
戦車を動かすことそのものはもしかしたら誰にもさほど難しいことではないのかもしれません(失礼)が、戦車乗りになるに至るまで匍匐前進とかの訓練をかいくぐってきたことを思えば一種の勲章のようなものとはいえないでしょうか。