リアル戦車乗り女子を直撃! 陸自初の小隊長と操縦手 女性も働く職場としての戦車部隊
一部を除きあらゆる職種における女性の起用が進む自衛隊ですが、戦車乗員も例外ではなく、女性の「戦車乗り」も増えています。北海道の戦車部隊で、射撃訓練に臨む陸上自衛隊初の女性戦車小隊長と戦車操縦手を取材しました。
戦車小隊の女性指揮官は日々進化中
2020年2月にも筆者は、初級幹部としての教育が終わり、部隊に戻ったばかりの黒川3尉が参加した訓練の取材に同行しました。

新米小隊長ということで慣れない環境での訓練に臨んだ黒川3尉は、同じ戦車に乗り込んだベテラン戦車乗員たちの手助けを受けつつ、小隊の指揮を執っていました。
とはいえやはり、彼女も最初から完璧に小隊を指揮できていた訳ではありません。当時、周囲から指摘されていたのが「姿勢が高い」ということでした。戦車の指揮官は、搭乗する戦車のハッチから上半身を乗り出して指揮を執るという印象がありますが、ハッチから腰まで出してしまうと、それは姿勢が高すぎるということになります。通常の走行時であれば問題ありませんが、戦闘行動時にはそれが命取りになるかもしれないのです。

事実、他国の戦闘では、ハッチから身を乗り出していたところを敵の狙撃手に撃たれる事例が多発しており、戦闘行動中は、可能な限り身を乗り出さない方が良いとされています。しかし車両感覚が掴めないうちは、どうしても身を乗り出して周囲を直接、確認したくなるという気持ちも理解できます。

それから半年あまり経った今回の訓練、黒川3尉が行動中に戦車のハッチから上半身を大きく出すことはなくなっていました。車外への露出は最低限にしながら周囲を確認し、小隊や自車の指揮を執っている姿がそこにはあったのです。この短期間で90式戦車の車両感覚や特性を理解し、自分のものにしたということでしょう。
戦車を動かすことそのものはもしかしたら誰にもさほど難しいことではないのかもしれません(失礼)が、戦車乗りになるに至るまで匍匐前進とかの訓練をかいくぐってきたことを思えば一種の勲章のようなものとはいえないでしょうか。
まさに、リアル・ガルパン
女性隊員の健闘を祈ります。