リアル戦車乗り女子を直撃! 陸自初の小隊長と操縦手 女性も働く職場としての戦車部隊
戦車好きが高じて「戦車乗り」に 初の女性戦車操縦手の横顔
第72戦車連隊にはもうひとり、注目したい女性の戦車乗員がいます。それは操縦手の金子亜裕美1等陸士です。
金子1士は東京都八王子市出身で、戦車に乗りたいという希望を持ち、昨年の3月に入隊しました。入隊の直接のきっかけは例年、陸上自衛隊が実施している「富士総合火力演習(総火演)」を見学したことだといいます。
オタクを自称する彼女は「もちろん、いま乗っている90式戦車が大好きですが、歴史上の戦車ではT-34(第2次世界大戦から冷戦期にかけ使用された、旧ソ連製中戦車)が好きです」といいます。また「憧れだった戦車の仕事ができることを、本当に嬉しく思っています。強い信念を持って努力をすれば、道は開けるのだと実感しています」と話してくれました。
訓練における彼女たちの奮闘ぶりは、目を見張るものがありました。戦車に乗っている姿は男性に引けを取らず、まさに戦車乗員そのもの。そこに性別の差はないと感じることができました。
射撃訓練のあとインタビューの時間を設けてもらったのですが、ふたりとも目が輝いており、いまの職場に十分満足している様子でした。
自衛隊における女性の職種は近年、おおいに拡大しています。2018年には、航空自衛隊において初となる女性戦闘機パイロットが誕生し、海上自衛隊では女性自衛官に対する潜水艦の配置制限を解除しました。それ以降、陸海空自衛隊における女性自衛官の配置制限はほぼ無くなったといえます。
2020年現在、陸上自衛隊で女性自衛官の配置制限をしているのは、化学科部隊の一部と施設科部隊の坑道中隊といった、極少数の限られた部隊だけです。
戦車を動かすことそのものはもしかしたら誰にもさほど難しいことではないのかもしれません(失礼)が、戦車乗りになるに至るまで匍匐前進とかの訓練をかいくぐってきたことを思えば一種の勲章のようなものとはいえないでしょうか。