「SOS」はもう古い 海上保安庁の新たな捜索・救助システム「MEOSAR」とは?

2020年12月より海上保安庁で新たな捜索・救助システムの運用がスタートしています。その名は「MEOSAR」。人工衛星を用いた新システムとのことですが、従来の人工衛星を使ったシステムとは何が違うのでしょうか。

新システムを支える3種類の人工衛星

 LEOSARについで、衛星通信利用の捜索・救助システムとして登場したのが、「GEOSAR」(ジェオサー)と「MEOSAR」(メオサー)です。

 従来のLEOSARが、南極・北極を通り高度約1000kmを回る低軌道衛星で、アメリカならびにロシアの低軌道気象衛星に専用通信機を載せた形を採っていたのに対し、1990年代に加わったGEOSARは、赤道上空の高度約3万6000kmに置かれる静止衛星という点が異なっています。こちらはアメリカ、フランス、インドの静止気象衛星に通信機が相乗りする形を採っています。

 2005年から試験が始まったMEOSARは、前出の2つの衛星の中間となる、高度約2万kmを回る衛星を使います。これはGPSやグロナスなどの測位衛星に専用通信機を載せています。

 GEOSERの長所は、北極・南極を除き、常にビーコン発信地点から衛星が見えているため、データが即時に伝わること。短所は、ビーコン信号に位置情報が含まれていないと発信位置が特定できないことと、北極と南極近くでは衛星の見える位置が地平線ギリギリすぎてカバーできないことです。

 最後に登場したMEOSERは、LEOSERとGEOSERのあいだを飛ぶため、双方の短所を改善・補完しているといえます。ビーコンに位置情報がなくても発信地点が判るほか、地球上どこでも測位が可能で、データは即時に転送できます。さらに陸上の救難基地などからビーコン発信器へ、簡単なメッセージを送れるように進歩しているのも特徴です。

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2011年、海氷によって遭難しないよう、漁船を先導する海上保安庁の巡視船「てしお」(画像:海上保安庁)。

 海上保安庁が12月に発表した内容は、日本がMEOSARのシステムに対応完了したことが認められたというものです。事故はいつ・どこで起こるか分かりません。万一の時、助けを求める情報がより早く、より簡単な装置でも送れるように進化を遂げたといえるでしょう。

 日本の排他的経済水域は約450万平方キロメートルあり、世界第6位(海外領土を含まない場合)の広さを誇ります。まさしく世界屈指の海洋国家である我が国にとって、今回の「MEOSAR」の運用開始は、心強いものになるといえそうです。

【了】

【図解】比べると一目瞭然! MEOSARが瞬時に遭難場所の特定が可能なワケ

Writer:

あるときは宇宙開発フリーライター、あるときは古典文学を教える大学教員。ロケット打ち上げに魅せられ、国内・海外での打ち上げ見学経験は30回に及ぶ。「液酸/液水」名義で打ち上げ見学記などの自費出版も。最近は日本の宇宙開発史の掘り起こしをしつつ、中国とインドの宇宙開発に注目している。

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コメント

1件のコメント

  1. 銚子沖や鹿島港など、事故そのものは依然なくなりませんね…

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