航空会社の英訳「エアラインズ」「エアウェイズ」どう違う? 国際的には&日本では?
世界では、そして日本ではそれぞれどう使われる傾向が?
航空会社で「エアウェイズ」が付くのは、筆者(種山雅夫、元航空科学博物館展示部長 学芸員)の個人見解かもしれませんが、かつての大英帝国(おおむね現在の英連邦に相当)に関連する航空会社が多く感じられます。ところが、実際には英連邦でも、「エアラインズ」「エアウェイズ」の使用率は半々といったところです。
ただ、イギリスの元「ナショナル・フラッグ・キャリア」であり、現在も同国最大の航空会社として君臨する「ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)」は、その前身である「BOAC(英国海外航空、British Overseas Airways Corporation)」や「BEA(英国欧州航空、British European Airways)そのまた前身の帝国航空会社など、みな伝統的に「エアウェイズ」を採用しています。
ここで注意していただきたいのは、「エアラインズ」も「エアウェイズ」も複数形であることです。この理由は、航空路が1本では経営的に成り立たないからでしょうか。
ちなみに、日本にかつて存在していた航空会社たちを見てみると、戦前DC-3や飛行艇を運航していた大日本航空はImperial Japanese“Airways”、戦後の東亜航空はToa“Airways”と日本国内航空Japan Domestic “Airlines”。のちに合併で誕生した東亜国内航空(TDA)は、Toa Domestic “Airlines”、その後名称を変更した日本エアシステム(現JAL)は「JAPAN AIR SYSTEM」なっています。
このほか運航会社を含む国内航空会社(すでに事業終了や合併されたものも含む)を見比べてみると、たとえばエアーニッポン(ANK)、エア・アジア・ジャパン(WAJ)、ハーレクインエア(HLQ)、南西航空(SWL)、バニラエア(VNL)……など多くの航空会社では「エアラインズ」「エア」「エアー」が含まれた社名である一方、日本アジア航空(JAA)や、ソラシドエアの前身であるスカイネットアジア航空(SNJ)などは「エアウェイズ」でした。
【了】
Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)
成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。
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