なぜ「住む」は不自由か?「回遊しながら住む」という選択肢を提案する東急の狙い
コロナ禍以前からの「ホテルの課題」も副次的に改善できる?
今回の「tsugi tsugi」の先行体験実施には、コロナ禍でホテルの稼働率に余裕があったことも後押しになっているそうですが、ホテルの稼働率改善が最初にあったのではないとのこと。また、コロナ禍がなくともホテルでは一定の空室が出るもので、基礎稼働をいかに上げるかが課題であるなか、「tsugi tsugi」は副次的にそれを改善する方法になり得るといいます。
想定しているおもな利用者は、独身者、若者、テレワーカー、フリーランスの人など。今回の先行体験モニターである滝さん(女性、独身、外資系IT会社員、都内在住、一人暮らし、30代)は、体験への参加について次のように話します。
「2020年3月から在宅ワークになって、ずっと家にいるのがつまらないと感じていたなか、旅行感覚でワーケーションできるのでワクワクしています。ただ荷物のことを考えると、トランクルームや輸送サービスがあるといいのですが……」
今回行われる「tsugi tsugi」の先行体験では、ユーザーがどこへどのように移動するか、またそれに関わるコストや心理的負担などの検証が行われ、将来的にユーザー同士、またはユーザーと地元の人がコミュニケーションできる場や、長距離移動にかかる費用や手間を軽減させる仕組みをつくることなどが検討されます。また幅広く事業を行っている「東急」というグループの力を生かし、生活を支える付帯サービスの展開も考えられるとのこと。
この「tsugi tsugi」について、60泊プランは4月16日(金)、30泊プランは5月9日(金)まで、各50名の体験者を募集(応募多数の場合は抽選)。宿泊は連続する60泊、もしくは30泊です。
コロナ禍をひとつのきっかけに、コロナ禍以前から存在した「住む」の課題を改善する試みが進んでいくのでしょうか。「住」「職」「旅」をシームレスにするこの「tsugi tsugi」は、ひとつのニューノーマルになるのでしょうか。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
コメント