東急田園都市線の顔「東急8500系」を振り返る 半世紀を走った銀の車両 車内には扇風機

東急の8500系電車は、1975年に誕生した同社屈指の長寿車両です。田園都市線での運用が半世紀近くになってもその走りは衰えず、力強いモーター音も健在と、単に年数を重ねただけではありません。長く主力を務めたその足跡をたどります。

登場から45年 多摩田園都市の象徴的な存在 東急8500系

 東急8500系電車は、多摩田園都市の成長期、1975(昭和50)年に誕生して以来、2020年現在も東急田園都市線を走り続けています。いまでは地方鉄道や海外に転出した仲間もいます。しかし、45年以上も登場時の路線で活躍している車両は珍しく、驚きに値します。

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田園都市線を走る東急8500系。この編成は、2020年3月に引退している(2011年6月、大藤碩哉撮影)。

 もっとも、近年に登場した電車に比べて見劣りするところもあります。車内でいまだに扇風機が首を回している様子はレトロ感があります。「次の駅はどこかな」と見上げても、乗降ドア上にモニターがないのでわかりません。そんなことは当たり前だったのに、モニターのある電車に慣れてしまったせいか、情報が少ないと不安になります。地下鉄トンネルの向こう側からは「古い電車が来たな……」と思われそう。とはいえ2022年度までに引退するといわれています、どうか優しく見守ってほしいと筆者(杉山淳一:鉄道ライター)は思います。

 思い起こせば、8500系が走り始めたころ、小学生の筆者はピカピカ車体に赤い帯の8500系が大好きでした。なぜなら、この車両には必ずクーラー(冷房)が付いていたからです。当時から汗かきだったので、8500系が来るとラッキーと思いました。のちの資料で、一部の車両はクーラーがなく、カバーだけ設置したとありました。幸いなことに、筆者が乗ったのはすべて冷房車でした。

 それから10年後、高校時代は新玉川線(現・田園都市線の渋谷~二子玉川間)で8500系に乗って通学しました。同時期に大ヒットドラマ『金曜日の妻たちへ』(TBS)が始まりました。舞台は多摩田園都市、新興住宅の生活ぶりを描き、随所に8500系電車が登場しました。地味な車体ですが、当時はステンレスシルバーの銀色車体も珍しく、高級感を漂わせていました。あの頃、8500系は東急電鉄のエースでした。

【写真】レア色? 車体帯が青い8500系

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コメント

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3件のコメント

  1. 東急8500系の8606F(東武非直通・表示幕・スカートレス仕様)が、先日運用から離脱しました。同編成車は74年度末期の2月に投入され、8000系をベースにワンハンドルはそのままに運転台コンソールを刷新し地下鉄乗り入れにも対応しており、東武直通運転開始時は工事は見送り東武非直通車には非常用ドアガラスにKマークをつけましたが、東急車の東武非直通車両はすべてが引退しました。東急8606Fは鉄道ファンから圧倒的な人気を誇るため、最後迄残る事が予想されましたが車体や機器類の老朽化が目立ったため、それにとどまらず新型2020系の置き換えが進んでいるため今回の離脱が決まりました。またメトロ側も営団時代から40年近く活躍中の8000系も来年から新型18000系の置き換えが予想されるため、東急8500系とメトロ8000系を記録するなら今のうちをおすすめします(現在はコロナ感染の関係のため、落ち着いたら記録してください)。

  2. 扇風機がレトロ感とあるが、風が車内に行き渡るのは扇風機の方がはるかに上。
    103系冷房車然り美観(w)優先のラインデリア以前の車輌の方が涼しかった。

  3. 冷房装置のカバーを横から見て、向こう側の景色が見えると
    カバーだけのニセ冷房車ってことでガッカリしたことを覚え
    ています。コルゲートが少ない8400だったか、試作車が挟
    まっていたこともあったっけな。