さらば大量輸送時代 退役進むボーイングの巨人機「777」を振り返る 世界を近づけた双発機

ただ新星の波には勝てなかった777 新型コロナの影響も大きく

 開発当初は航空会社にとってベストな選択肢のひとつではあった「トリプルセブン」ことボーイング777ですが、時代は変わります。2010年代に入ると、機体規模がひとまわり小型でありながら、飛行速度や長距離性能がほぼ同等、かつエンジンの燃費がよく運航費用も少なくすむ、ボーイング787といったいわゆる「第7世代」の旅客機が登場。こちらのほうがコストパフォーマンスが高く、航空会社のニーズにマッチするようになります。

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ANAのボーイング787-9型機。新型コロナウイルス感染拡大下、現世代の国際線主力機になりつつある(乗りものニュース編集部撮影)。

 また、先述したポイント・トゥー・ポイントの直行便で運航できる路線も、年を追うごとに増えてきていますが、「トリプルセブン」のような300~400人クラスの大型機ほどの需要が見込めない路線もあり、世代交代へ動いた背景のひとつといえるでしょうか。

「トリプルセブン」は日本でも世界でも、徐々に運航本数が減っています。とくに日本では、経年に加え、新型コロナウイルス感染拡大による一便あたりの需要減にともなう大型機の削減や、P&W(プラット・アンド・ホイットニー)社製のエンジントラブルなどによる運航停止などで、機数は日増しに減るばかりです。くぐもったエンジン音をふかして、地面すれすれになるほど機首を上げて離陸する「トリプル」が少なくなってきたことに、筆者は一抹の寂しさを覚えます。

【了】

【翼、折れてる!?】もっと巨大&斬新主翼の「777新型」

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

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2件のコメント

  1. B777って初期型から主翼の折りたたみ機構は提案されていた記憶が…。

    • それは間違い