地球温暖化で「全地形対応車」に脚光 ロシアで軍用バリエーション次々登場の背景
履帯の車両を前後につなげたような「全地形対応車」は、特殊な部類の車両には違いありませんが、ロシアではほかの花形兵器に交じり軍事パレードに参加するほど重視されているそうです。その背景に地球温暖化…どういうことでしょうか。
比較的地味な存在のはずの全地形対応車 ロシアでにわかに注目を集める
ロシアの5月9日といえば、第2次世界大戦対独戦勝記念日という国家的記念日であり、軍事パレードが実施されます。今年(2021年)もCOVID-19収束を待たず、やる気満々のリハーサルが行われているようです。
このイベントは、情勢によって色々な新兵器が登場するので注目されるのですが、そうしたなか2017年5月のパレードには、異彩を放つ大型車両が登場しました。強力な新兵器というわけでありません。全地形対応車「DT-30」ベースに防空システム「パンツィリSA」と「トールM2DT」を搭載した極地用兵器です。連結装軌車の巨大な車体に白色迷彩は、特に異彩を放って目立ちました。
この「全地形対応車」とは、2台の装軌車(いわゆるキャタピラで走る車両)を連結するカタチの車両で、屈折式の連結車体構造により不整地や障害物に対する車体との接地面を大幅に増やし、前後車体の押し引き作用により溝やくぼみを乗り越えることが可能で、通常の装軌車両に比べ格段に高い走破性能を発揮することができる特殊なものです。日本では、愛知県の岡崎市消防本部に配備された消防救難車「レッドサラマンダー」が有名です。
しかし日本には「レッドサラマンダー」が1両しかないように、ロシアにおいても全地形対応車はレアな特殊車両で、本来、軍事パレードに参加するような派手な車両ではないように思えます。ところがDT-30は2017年以降、毎年パレードに姿を見せレギュラー化しました。これにはロシアの意思表示が含まれています。
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