指差し確認「○○ヨシ!」ワゴン販売だけじゃない「新幹線パーサー」という仕事
イメージが変わった「パーサー」の仕事
パーサーの研修施設には、実際の座席や機器を用いて新幹線車内を模した訓練設備があり、取材時には、乗客が乗降用ドアに挟まれたという想定で研修が行われていました。
パーサー研修生は、まず非常ボタンを押して「ブザー音ヨシ!」と指差し確認。そして状況をほかの乗務員に共有。ただそこは研修生、「5W1Hを明確に伝えましょう!」とインストラクターから指導が入ります。
安全に関するパーサーの新入社員研修では、ほかに次のような教育があるそうです。
・新幹線の動く仕組み
・不審者・不審物・危険物発見時の取扱い
・急病人発生時の取扱い
・長時間停電発生時の対応
・避難誘導の声掛け
「華やかな職場で、憧れがありました。そういう職場で働いてみたいと思いました」
パーサー職を志望した当初の動機をそう話す、新入社員の岩田亜李紗さん。パーサーは販売職のイメージだったそうですが、乗客の命を守るパーサーの仕事を勉強するにつれ、「カッコいい!」「ああいうふうになりたい!」という憧れを持たれるようなパーサーになりたい、と思うようになったといいます。
私(恵 知仁:鉄道ライター)はしばしば、実際の車両を用いた東海道新幹線の異常時訓練を取材しますが、そこでパーサーが車掌たちに交じり、学んでいる場面をよく見ます。
新入社員の秋山まりさんは、「パーサー」という仕事について「華やかなだけではなく、たくましくて強い女性のイメージ」とも話します。
パーサー研修生は6月にひとり立ちの予定。ただその時点で可能なことはまだ限定的で、キャリアアップして、業務の幅がより広がる車掌資格がとれるのは、それから1年~1年半ほど先だそうです。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
将来的に東海道新幹線の車掌業務は全面的にJRCPに任せて、プロパーの車掌はリニアに振り向けるつもりでしょうか。