実は「流浪の特急」? JRの「ロマンスカー/パノラマカー」唯一の生き残り
幾度も受けた改造 5列車で活躍 実は電車と仲良し?
1988(昭和63)年3月に登場したキハ183系1000番台は、まず小倉~佐世保間の特急「オランダ村特急」として運転を開始(「長崎オランダ村」は「ハウステンボス」のルーツになったテーマパーク)。
その後、役割を特急「ハウステンボス」へ譲り、改造を受けたのち、1992(平成4)年から特急「ゆふいんの森」へ転身。その2編成目の車両「ゆふいんの森II世」として、博多方面と由布院・別府方面を結ぶことになります。
1999(平成11)年、特急「ゆふいんの森」に新車「ゆふいんの森III世」が導入されると、キハ183系1000番台は再び改造を受け、今度は長崎~佐世保間を結ぶ特急「シーボルト」に変身。
しかし特急「シーボルト」は、2003(平成15)年に運行を終了。キハ183系1000番台はまたまた改造を受け、2004(平成16)年から「ゆふDX」として再び博多方面と由布院・別府方面を結ぶことになります。
この「ゆふDX」での運行は、2011(平成23)年1月に終了。キハ183系1000番台は同年6月から特急「あそぼーい!」として運行を始め、現在へ至るというわけです。
誕生から33年、姿を変えながら5列車で活躍してきたキハ183系1000番台。2階運転席の展望車構造は、ファミリー向けの「あそぼーい!」が合っているのもあるのでしょうか。「あそぼーい!」としての人生が、最も長くなりました。
ちなみに、このキハ183系1000番台はディーゼルカーですが、電車と協調して走ることが可能。「オランダ村特急」時代、485系電車による特急「有明」と連結して走ったこともあります。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
電車との併結の実用化は鉄道総研への拠出金のモトを取る意味もあったのかもしれないけれど、連結・解放にかなりの時間を要したために中止になったと聞きました。