営業車も点呼・アルコール検査義務に 白ナンバー業務車の「責任」法令改正で厳格化へ
実施しないことに、罰則は定めず
一方で、安全運転管理者が、上記のような対策をしなくても、これまで同様に、実施しないこと自体に罰則は設けられませんでした。
宅配便のように有償で荷物を運ぶ緑ナンバーでは事業者に対して、かなり厳しい運行管理が求められています。安全運転管理者に相当する運行管理者が点呼を実施しないだけで、車両を使用できなくなる、という罰則があります。また、緑ナンバーの運送事業者を監督する国土交通省は地方支局を通じて監査を行い、点呼の実施状況を調べて、未然に事故を防ぐ取り組みをしています。
しかし、白ナンバー車両の運転は、それ自体がビジネスではないので、企業・団体にそこまでの義務を負わせるべきか、という判断がありました。安全運転の義務は運転者自身にある、という原則に立った道交法の規定であることも考慮されています。
改正案に罰則が盛り込まれていなくても、事故が発生すると、運転者と共に安全管理者を含めた企業責任が問われます。白ナンバーの企業・団体は、緑ナンバーより自立的に運行管理を考えなければなりません。
ただ、規制強化のきっかけとなった千葉県八街市の児童死傷事故(2021年6月28日)について振り返ると、事故車両は白ナンバーでした。厳格な飲酒点呼などの義務はありませんでしたが、社員が命じられた業務は、緑ナンバーの運送業と実質的に同じ行為でした。こうした矛盾を、どう受け止めるべきでしょうか。
国家公安委員会で了承された今回の規則改正案について、警察庁はパブリックコメントを求めています。運行管理をする立場、事故被害者の立場、改正案の評価が反映される機会です。意見の提出期間は9月3日(金)~10月2日(土)まで。警察庁への郵送、ファックス、インターネットでは電子政府のパブリックコメント意見提出フォームや電子メールで受け付けています。
改正案施行は2022年4月1日を予定しています。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
しょせん過渡期的なルールでしょう
どうせ20~30年後には自動運転以外の自動車は全て公道から排除されるのですから。