閑散ローカル線なのに遅延多発、原因は「落ち葉」? 特別処置と臨時ダイヤで試行錯誤中
遅延時間が突出。解決へ試行錯誤が行われています。
ローカル線「ならではの悩み」どう解消?
JR東日本の盛岡支社は2021年9月29日(水)、支社管内の10路線について、2020年9月~12月に発生した路線ごとの遅延発生時分を発表。それによると、山田線の遅延時分はのべ2594分で、他路線に比べ圧倒的に多いという結果になっていました。
2番目に遅延が多い路線は釜石線と大船渡線で、どちらも160分。山田線がいかに突出して遅延が多いかがわかります。
山田線は、岩手県宮古市の宮古駅と盛岡市の盛岡駅を結ぶ、三陸~内陸を東西直結する102.1kmの路線です。全線通しの列車はわずか4往復。盛岡発宮古行きの始発は、11時6分発の快速「リアス」で、途中にある平津戸駅の宮古方面行きは、始発列車がなんと19時9分発。2021年時点での「日本一遅い始発列車」であり、上下線合わせて5本しか列車が来ない秘境駅となっています。
列車の遅延といえば、ラッシュ時の乗降や客トラブルなどが原因で発生し、後続列車にも波及していくイメージがありますが、山田線は上述のように、その逆の「超閑散路線」。なぜ遅延がそんなにも発生するのでしょうか。
JR東日本は、遅延の主原因を「車輪の空転」としています。山田線の中で箇所別に遅延時分を見ると、最大25パーミルの急勾配が連続する上米内~腹帯の区間に集中しており、勾配を上る際に空転が生じ、十分なスピードが出せないことで遅延を生んでいるのです。
さらに空転を促進しているのが、線路に堆積する落ち葉の存在です。JR東日本の説明では、列車の車輪に踏みつぶされた落ち葉に含まれるタンニンが、鉄製のレールと化学反応を起こし、黒色の被膜となって、空転しやすいレール表面を形成するとのことです。
空転対策としてJR東日本は、この被膜をレール研磨で除去しています。2020年度は山田線(区界~川内)含む3路線で計25回、2021年も八戸線で14回実施しました。
さらに、根本的な対策として沿線の樹木を伐採するほか、走行列車から粘着剤をレールへ散布し「粘着力」を高めるほか、列車を2両に増結しパワーと車輪の摩擦力を増強するという、集中的な取り組みを行っています。
あわせて11月1日~14日の2週間、特に遅延がひどい早朝の宮古発盛岡行きの1便について、盛岡市内の上米内駅で運行系統を分割するという臨時運用を試行します。盛岡市内の利用者に遅延が波及しないよう、宮古から遅れて来る列車が到着する前に上米内駅を発車できるようにするためです。ちなみに、上米内駅止まりになった車両は、8時52分発盛岡行きという臨時列車として運用されるそうです。
【了】
車両増結しての対応が、必要と思います。
乗客数に応じて短編成-としているのでしょうが、
長野県内でも現・しなの鉄道線のかつての信越本線では長大編成の特急走行があったことで
空転発生を防いでいた側面がありましたので、
それらの実績を各山間勾配地域で活かしていただきたいと存じます!
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