「胴体断面が四角いカックカク旅客機」なぜ存在? 円形断面より激レアな理由とは
現代の多くの旅客機では、大小関係なく断面形状が円形となっているのが一般的です。ただ一方で、ごく少数ですが断面が四角くなっているものも存在します。なぜこのようなレア機が存在するのでしょうか。
キーとなるのは現代では必須の「客室与圧」
現代、国内の航空会社で飛び交う旅客機は、胴体の断面形状が「円形」となっているのが一般的です。この形状は大型ジェット機、小型のターボプロップ機でもほとんど共通で、ジャンボ・ジェット」ことボーイング747はその例外的な胴体断面とはなっているものの、円形をふたつ組み合わせたひょうたん型で、「円形ベース」であることには変わりはありません。
一方で断面形状が四角い、「方形」の旅客機もごく一部に存在します。
たとえばドイツ製の「ドルニエ 228」やイギリス製の「ショート 360」がこの例です。ともにプロペラ駆動のターボプロップ機で、デザインとしては比較的クラシックな旅客機、という共通点があります。これはどうしてなのでしょうか。
この理由は、多くの旅客機が円形の胴体を採用していることと密接に関わっています。つまり先述の2種に代表される四角いターボプロップ機は「円形の必要がないから四角くなっている」といえるのです。
ほぼすべてで円形の胴体が採用されているジェット旅客機では、高度1万mの高さを長時間飛行します。この高さは気圧が低く酸素濃度が低い「空気が薄い」状態であるほか、気温も氷点下近く。放り出されたらとても人間が生命を維持できる環境ではありません。
そのため、機内では人為的に地上と近い環境まで気圧を高め、人間が不自由なく過ごせる空間をつくり出しています。これを「与圧」といい、多くのジェット旅客機では高度2400m相当、エアバスA350やボーイング787といった最新鋭機では、高度1800m相当の環境まで圧力を高めています。
旅客機も与圧技術の歴史は古く、第二次世界大戦前にまでさかのぼります。与圧客室の走りとされたのが、1938(昭和13)年に初飛行したレシプロ旅客機、ボーイング307「ストラトライナー」でした。大戦下の日本に甚大な被害を及ぼした爆撃機B-29では、ボーイング307の経験を活かし機内を与圧することとなりました。大戦後は、旅客機でも与圧装置が標準装備となり、現在に至っています。
記事中に(1938(昭和14)年)とありますが1938年は昭和13年です
ご指摘ありがとうございます。修正しました。