伊豆大島「風待ちの港」にまさかのジェットフォイル集結 非旅客港で避難救助訓練のワケ
島民も注目 小さな漁港にジェットフォイル集結
さて、この訓練はちょっとした”事件”ともなりました。訓練が行われた波浮港は、本来は定期旅客船が発着しない、小さな漁港です。奥深く入り組んだ湾にあり水深も浅いことから、大規模な船舶が寄港するには向かないためです。しかし、今回はそんな波浮港に、「海面を飛んで走る船」ジェットフォイルが初めて、それも2隻も入港するというのです。
珍しい光景をひと目見ようと、島民が岸壁や展望台に集まっていたほか、訓練に参加した児童たちも、見慣れた漁港に突如やってきたジェットフォイルを指差したり手をふるなど、興奮を隠しきれていない様子でした。
実は東海汽船は、これまでも波浮港に旅客船が発着できるかの実証試験を行うため、ジェットフォイルで入港したことがありました。住民への事前告知は特に無いままの実施でしたが、やはり明らかに「非日常」な風景だったのか目に止まり、「あれはなんだったのか」といった問い合わせもあったそうです。
現在、若者のリゾート地として波浮は脚光を浴びており、島内の中心地である元町に比べて「島っぽい」風景に惹かれる人々とともにゲストハウスも増えているそうです。2021年9月からテレビ東京で放映中のドラマ「東京放置食堂」はここ波浮港が舞台で、主人公が店の手伝いを行う「風待屋」も港裏の路地のカフェでロケが行われています。
そんな波浮の大きな課題が島内アクセスで、元町に滞在し波浮方面へ観光に向かう人が、時間の制約上、途中の観光スポット「地層断面」で引き返すなど、心理的な距離感が遠いのが実情だそうです。そうした背景から、波浮港が元町港、岡田港に続く島内3つ目の旅客港になることで、観光客増加につながるという地元の期待はあるといいます。
【了】
コメント