バス停「住宅前」「区境」「ガード下」… 単純すぎる名前なぜ多い? 「分譲住宅」も
バス停には「住宅前」「学校前」など、駅名の感覚からすれば単純すぎるのでは? と思える名前のものが数多く存在します。こうしたストレートなバス停名はなぜできたのでしょうか。
単純すぎるバス停なぜ? 雑なネーミングと呼ぶなかれ
バス停名「住宅前」――どこの住宅か、他に名前の要素はなかったのか、と思うかもしれません。案の定、全国にいくつも同じ名前のバス停が存在します。
2016(平成28)年頃には、ツイッターで「#全日本雑な名前のバス停選手権」なるハッシュタグの投稿が盛り上がりました。“雑な名前”とは、珍しい名前というより「住宅前」のようなストレートすぎるともいえるバス停を想定したものと考えられます(実際には、珍バス停名の大喜利状態でしたが)。
一例を挙げれば「ガード下」「区境」「アパート前」「踏切」「一軒家」、果ては「荒木さん前」などなど……。これらも、同じ名前のバス停が全国に点在していたり、個人宅名が使われていたりするケースが少なくありません。
なぜこのようなバス停名が多いのかといえば、それが「わかりやすかったから」です。バス停の多くはその地域に古くから存在してきたものであり、地域の歴史を物語っています。
多くのバス停は、地元での通り名のようなものも含めた地名、地形、施設名、あるいは地域のランドマークなどが採用される傾向にあります。「住宅前」は、農地のなかにポツンと住宅があったり、あるいは集合住宅が建っていたりなどした、文字通り“住宅の前”にあったケースです。「アパート前」などといったバス停も同様でしょう。
「ガード下」はどうでしょうか。東京では西東京市内の同じ場所に西武バスと関東バスの停留所があり、文字通り、西武新宿線が青梅街道をまたぐガードの近くにポールが立っています。ここは、西武新宿線が1927(昭和2)の開通当時から立体交差していた場所です。高い建物が周囲にない時代、鉄道ガードが地域のランドマークになっていたことが伺えます。
バス停から地域の歴史が読めるのは面白いものだと改めて感じる。
さて、検索でバス停名を調べて時刻表や乗換案内を表示する場合、別の場所に同じ、または似たバス停名が存在するのは不便だという気もする。
別の事業者でももちろん、特に記事にある国際興業バスの「区境」のように同じ事業者に同じ名前が複数あると間違える可能性が高い。駅名の例だが「青海」に行こうとして奥多摩の入り口の「青梅」駅にたどり着く人が少なくないことを考えても…
ただ、バス停の名前には地名に準じるような価値があるので、便利さだけを理由に変えた方が良いと簡単に口出しできるものでもないかもしれない。