大阪の足は船が最強に? “自動EV船で高頻度運航”実現の切り札「ワイヤレス充電」とは

水上バスが次から次へやってくる「水都」大阪――そんな都市を実現すべくEV船の実証実験が行われています。高頻度運航のコア技術になるのが、桟橋側の設備と船との「ワイヤレス充電」です。その可能性が見えてきました。

「手でやるか、ワイヤレスでやるか」で大違い!

「自動運航のEV船が導入されればガラリと世界が変わります。オペレーションコストが下がり、騒音や排気ガスを出さないため24時間運航も可能になるかもしれません」

 e5ラボの末次さんはこう話します。大阪市はじめ関係者の狙いは、「水都」大阪で船の高頻度運航を実現し利便性を高めることにあります。水上バスなどの小型旅客船を電動化し、IoT(モノのインターネット)を活用して遠隔監視や自動運航の導入を進めることで、大阪の湾内や河川で航行する船の柔軟な運用を可能にするといいます。

 一方で、EV船の運航本数を増やすには、搭載しているバッテリーへの充電をどのように実施するのかという課題が残っていました。手動でプラグをつないで充電するのではなく、船が乗り場に着いたら自動で充電されれば、完全な自動運航の実現も視野に入ってくるでしょう。

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ワイヤレス充放電の実証実験(深水千翔撮影)。

 さらに今回の実験では、船のバッテリーから陸上側への充電も行い、災害時に船舶を非常用電源として使用可能か検証も実施しています。

 関西電力は「電気あるところ関電あり」(関電ソリューション本部の奥戸義昌副本部長)を掲げ、2050年のゼロカーボン社会実現に向けてモビリティの電動化へ積極的に取り組んでいます。EV船の分野では船舶側と地上側を「双方向ワイヤレス充放電」システムで接続し、電力の充放電を制御することによって、オフィスビルなどと連携したエネルギーマネージメントや停電時のBCP(事業継続計画)対策としてモビリティサービスを活用することを目指しています。

 関電の奥戸さんは「内航船の電動化もゼロカーボンに向けた大きな課題です。技術的な課題の一つに、水上で大容量の充電を行わないといけないという難しさがあります」と話します。大容量のワイヤレス充電技術を開発し実装することが、その解決につながるということです。

【了】

【桟橋~船のスキマに注目】EV船ワイヤレス給電の様子 写真で見る

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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