巨大な円筒形の帆「ローターセイル」が5つも! 32万トン超え大型バルカー就航へ

ブラジル~中国間の鉄鉱石運搬に用いられる予定です。

超大型ばら積み船で起倒式ローターセイル搭載は初

 フィンランドの新興企業ノルスパワーは2021年5月13日(木)、ブラジルの鉱山大手ヴァーレが使用予定の鉱石運搬船「SEA ZHOUSHAN」に、起倒式ローターセイルを5基取り付けたと発表しました。

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ローターセイルを搭載した32万5000重量トン型のばら積み船「SEA ZHOUSHAN」。中国の造船所で建造された(画像:ヴァーレ)。

 ローターセイルは、日本語では「円筒帆」とも呼ばれるもので、帆船の帆(セイル)のように風を推進力に返るための装置です。形が筒(ローター)状であることから、そのように呼ばれます。

 原理としては、ボールを投げたり蹴ったりするときに、ボールに強い回転を加えると、その回転方向に引っ張られ、一種の揚力が働くことがあります。その力は「マグヌス効果」と呼ばれますが、それを船の推進力として用いることで、風力を前進する推力に変え、化石燃料の使用を低減させようというものです。

「SEA ZHOUSHAN」は、32万5000重量トン型のばら積み船(バルクキャリア/バルカー)で、いわゆるVLOC(very large ore carrier)と呼ばれる超大型貨物船です。搭載するローターセイルは高さ24m、直系は約2mあり、油圧シリンダーを使って傾けることができるとのこと。

 ノルスパワーによると、VLOCに起倒式ローターセイルが搭載されるのは初であり、今後、燃料消費量の削減および燃料代の低減、排出ガス削減技術の適応性などを実証していくそうです。なおヴァーレが過去チャーターしたVLOCの航路を分析したところ、ローターセイルを用いることで最大8%推進効率が向上し、年間最大3400tのCO2(二酸化炭素)削減が可能と見積もっています。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. ローター船、小学校の図書室蔵書で【帆の無い帆船】と紹介されていました。
    大掛かりな帆装が不要かつ省エネだと書かれていたことを覚えています。
    ただ、「風が無いと帆走できない」ので普及しなかったとも書かれていました。
    それから半世紀、こういう需要が出てきたのも【世の中が変わった】からでしょうね。