海外軍事作戦に米が通す「スジ」 ISIS指導者を米特殊部隊が急襲 その根拠はどこに?
他国で対テロ作戦を実施していいの?
今回の作戦に関して注目されるのは、その法的根拠です。アメリカの国内法上の根拠としては、2001(平成13)年に発生したアメリカ同時多発テロの実行者(アルカイダ)などを攻撃する権限を議会が大統領に与えた「2001 AUMF(軍事力行使権限承認)」が挙げられます。2001年当時にはまだISISは存在していませんでしたが、ISISの前身となる組織はアルカイダ中枢メンバーとの強いつながりを有していたため、ISISも2001 AUMFによってカバーできるというのが、オバマ政権以来のアメリカ政府による一貫した解釈です。
問題は国際法上の根拠です。今回、作戦が実施されたのはシリア北西部、つまりアメリカ国外です。自国の領域外で軍事作戦を実施することは、通常であればその国の主権や領土保全に対する重大な侵害となり、国際法に違反することになります。
しかし、そうした自国領域外での軍事作戦に関して、これが認められる場合も存在します。そのひとつが、軍事作戦の実施に関してその国の同意が得られている場合です。たとえば、アフガニスタンやイラクなど、アメリカが長年にわたりその国内で対テロ作戦を実施できていたのは、そうした活動を実施することにアフガニスタン政府やイラク政府が同意していたためです。
しかし今回、作戦が実施されたシリアの場合は状況が異なります。というのも、シリアとアメリカは友好的な関係にはなく、したがって作戦実施に関する同意を取り付けることができなかったと思われるのです。
そこで考えられるのが、国際法上の自衛権に依拠したというものです。実は、アメリカ軍は2014(平成26)年からシリア国内で、爆撃を含む対ISIS軍事作戦を行ってきました。その根拠がまさに自衛権の行使なのです。
Based on America's pride as the military police in the world.