高速道路に「通勤定期」なぜないの? 代わりの制度は見直し検討中
鉄道の通勤定期券のような制度が高速道路には存在しません。代替として導入された制度もありますが、それも見直しが検討されています。
高速道路になぜ通勤定期がないのか
鉄道では一般的に、指定の区間が乗り放題になる定期券が存在しますが、高速道路にはありません。乗りものニュースの読者から、「高速道路の通勤定期がなぜないのか、調べてほしい」という声が寄せられました。
NEXCO西日本がウェブサイトの「よくある質問」に、「毎日通勤のために高速道路を通行していますが、定期券を発行できませんか?」との項目を設けています。やはり「よくある質問」のようですが、その回答は次の通り。
「通行料金は、通行1回ごとのご利用について決められておりますが、利用回数に制限のない定期券は、現金やETC割引をご利用されるお客さまとの間に著しい不公平が生じることから実施しておりません」
つまり、人により利用頻度に差があるので、乗り放題の制度だと不公平が生じる、と読むことができます。
実は、NEXCO発足以前に国が実施した、高速自動車国道の料金割引に関するパブリックコメント(一般からの意見募集)でも、定期券のような定額料金制度を望む声が寄せられています。その代わりとして設定されたのが、ETC専用の「通勤割引」でした。
通勤割引は2005(平成17)年1月から始まり、6~9時または17~20時のあいだに利用した場合、午前と午後それぞれ1回の利用に限り、地方部(大都市近郊は除く)の高速道路料金を5割引きしていました。当初は100km以内の利用という制限がありましたが、のちに100kmを超えても100km分を5割引きにするよう緩和されています。
この制度について、先のパブリックコメントへの回答では「区間を限定しない制度とすることにより、利用者は、乗り越し等の余分な手続なしに鉄道等と同等以上の割引を受けられるものと考えられる」とされていました。
ただ、時間と回数でしか縛っていなかったので、たまたま旅行で通った人などにも適用されてしまいます。国の委員会は「通勤を目的とした反復利用者に特化した割引等へ移行することが望ましい」と指摘。これを受け、2014(平成26)年から「平日朝夕割引」に装いを新たにしました。
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