高速道路に「通勤定期」なぜないの? 代わりの制度は見直し検討中

通勤定期、今こそアリ? コロナ後の変化受け見直しへ

 平日朝夕割引は、ETCマイレージサービスの登録が必要で、利用回数に応じて段階的に割引率が高まるよう設定されており、月10回以上利用すれば最大の50%割引が受けられます。割引はその場で適用されるのではなく、1か月分を合算のうえ、翌月にETCマイレージサービスの還元額(無料通行分)として付与されます。

 もともと通勤割引や平日朝夕割引は「生活対策」として導入され、通勤利用のドライバーに便宜を図るだけでなく、高速道路の利用を促し“一般道の混雑を緩和”する目的がありました。平日朝夕割引への移行後も含め、実施区間の約半分で、一般道から高速道路への転換が図られているといいます。

 しかし、割引時間帯に高速道路のほうが混雑している地域もあるなどの理由から、2021年7月に発表された国土幹線道路部会の中間答申にて、他の割引制度と同様、その目的も含めて見直しを検討すべきとされています。

「感染症の影響で通勤のあり方が変化し、利用時間が以前より早くなったり、遅くなったりしています。またETCの利用データを見ると、月に20回ほど通勤利用している人もあまりいないんですね。平日朝夕割引は、必ずしも通勤で多く利用している人が割引を享受できるものではなくなっています」

 こう話すのは国土交通省高速道路課の担当者。見直しの方向性は、まだはっきりとは定まっていないといいます。

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平日朝夕割引の適用例。×が適用外(画像:NEXCO中日本)。

 では、改めて鉄道の通勤定期券のような制度を検討する余地はあるのでしょうか。高速道路課の担当者は、割引率の設定が難しいほか、業務で同じ区間を1日に何往復もしている人も確かに存在するため、やはり定期券のような乗り放題の制度では、利用頻度の差が人により非常に大きくなる点が課題だと話します。

 とはいえ、人々の通勤が変化するなかで、「時間にしばられなくなるという点は、考える必要はある」とのこと。多くの企業が通勤定期のような制度を求めているかどうかも、検討していきたいといいます。

【了】

【通勤定期の代わり】旧通勤割引&平日朝夕割引の概要 画像で見る

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