巡洋艦「ウクライナ」 沈んだ「モスクワ」同型艦ながらあまりに異なる航跡を追う

ロシアの首都名を冠した巡洋艦「モスクワ」沈没の報は、大きな話題になりました。実はウクライナにも「ウクライナ」というフネがあり、しかも「モスクワ」と同型艦なのですが、その航跡はずいぶんと違います。

一方「モスクワ」の同型艦「ウクライナ」は竣工にも至らず

 スラヴァ級は1976(昭和51)年から建造開始された、2022年現在で新型とはいえないフネです。同型の4隻は、1番艦が今回喪失した黒海艦隊の旗艦「モスクワ」(竣工1982年12月30日)、2番艦北方艦隊「マーシャル・ウスチーノフ」(竣工1986年9月15日)、3番艦太平洋艦隊の旗艦「ヴァリャーク」(竣工1989年12月25日)、そして4番艦がウクライナに移譲された「ウクライナ」(未成)になります。

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ムィコラーイウ造船所の「ウクライナ」(画像:Валерий Вильяльд、CC BY-SA 2.5〈https://bit.ly/3EuH0m4〉、via Wikimedia Commons)。

「ウクライナ」は1984(昭和59)年、「コムソモーレツ」の名でソビエト連邦ウクライナ共和国(当時)のムィコラーイフ造船所で起工されましたが、1991(平成3)年にソ連が崩壊してウクライナが独立した当時も建造中でした。

「コムソモーレツ」はそのままウクライナに移譲されますが、スラヴァ級は建造費ばかりか維持費も莫大に掛かります。ウクライナの経済状況も最悪の時期にあたり完成度70%で工事は中止されます。その後1998(平成10)年にウクライナ海軍へ編入しようと艦名を「ウクライナ」に変更しますが、予算不足で工事は再開と中止が繰り返されます。はっきり言ってウクライナには持て余すフネでした。

 2010(平成22)年にはロシアの協力で完成させ、ロシアに再移譲も検討されました。2013(平成25)年9月には10億ルーブル(約20億円)でロシアが引き取ることで合意したとも報じられましたが、その後のクリミア問題で両国関係が悪化しこの話は立ち消えになります。もしこの時、ほとんど捨て値でロシアに引き渡していたら、この海域でロシア海軍はスラヴァ級2隻体勢となり、今回のウクライナ戦争にどんな影響を及ぼしていたでしょう。

おおむね同じ方向から見比べる「モスクワ」と「ウクライナ」

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コメント

1件のコメント

  1. 未成艦、

    つまり就役していないため「ウクライナ」は予定艦名でしかなく

    事実上は艦名は付いていない状態と言えますよね。

    そういう意味では沈められたとしても「モスクワ」とは意味合いが違うでしょう。

    実際ウクライナ軍には実働出来る艦船は少なくロシアに対抗するには脆弱であり

    艦船による反攻は無理と判断してロシア軍侵攻当初から

    鹵獲され転用されて戦力に加えられるの避ける為に大半を自沈させたとも言われていますよね。

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