沈んだロシア巡洋艦「モスクワ」どんな船? 艦齢40年の老艦が艦隊旗艦を務めていたワケ
黒海に沈んだロシア海軍のミサイル巡洋艦「モスクワ」。なぜ多数の大型ミサイルを積んでいたのか、艦齢40年になる老朽艦がどうして艦隊旗艦を務めていたのか、その理由をひも解きます。
当初の名は「スラヴァ」
2022年4月14日、ロシア黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没しました。ロシア側はそれに関して「搭載した弾薬が爆発し、曳航中に悪天候となり沈没した」と発表したものの、肝心の「搭載した弾薬が爆発」した原因については明らかにしていません。
一方、ウクライナ側は前日13日に対艦ミサイル「ネプチューン」2発を命中させて「モスクワ」に損傷を与えたと発表しており、西側では、これが原因で「搭載した爆薬が爆発」し、「曳航中に沈没した」と見る向きが多いようです。
沈んだことで急に世界の注目を集めた巡洋艦「モスクワ」ですが、そもそもどんな軍艦だったのか、なぜ旗艦という大役を担っていたのかなど、それらについて見ていきましょう。
「モスクワ」が生まれた背景は、第2次世界大戦後にさかのぼります。大戦終結から約10年が経ち、アメリカを中心とした資本主義陣営と、ソ連(当時)を盟主とした社会主義陣営が対立しあう東西冷戦が激化の一途を辿りつつあった1956(昭和31)年、ソ連海軍総司令官にセルゲイ・ゲオルギエヴィチ・ゴルシコフ元帥(当時)が就任しました。
後年、「ソ連外洋海軍の父」とも称された彼は、「陸軍大国」だった当時のソ連において、沿岸海軍(グリーンウォーター・ネイヴィーとも称する)程度の海軍力を、潜水艦の充実を手始めに、最終的には空母も含む大型水上戦闘艦を多数擁する外洋海軍(ブルーウォーター・ネイヴィー同)へと育て上げました。
そのゴルシコフが海軍の増強に努力していた1974(昭和49)年に、新しいミサイル巡洋艦の建造が決まりました。それが、1164型ミサイル巡洋艦です。このクラスはネームシップの名にちなんでスラヴァ級とも呼ばれますが、「スラヴァ」とはロシア語で「栄光」を意味します。
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