ひっそり消える「首都高8号線」とは何だったのか 実は欠番にあらず 誕生と消滅まで
「首都高8号線」は路線図にも案内にもなく、欠番扱いになっています。しかし実は確かに存在します。そして、廃止されようとしています。
都市計画上は本来のルートで全線規定
首都高の「8号線」。耳慣れない名前ですが、それもそのはず。首都高が公開している路線概略図をはじめ、道路地図や各種マップでは基本的に8号線の案内はありません。その「幻の8号線」が2022年、大きくクローズアップされることになりました。
そもそも首都高8号線とはどこにあるのでしょうか。実は都心環状線の京橋JCTから分岐し、KK線の西銀座・新橋方面へ向かう白魚橋料金所までの区間が「首都高8号線」なのです。その距離はわずか100m足らず。なぜこのような短い路線となったのでしょうか。
「KK線」と呼ばれる西銀座・新橋・汐留のルートは「東京高速道路」という、首都高とは別の会社が建設し、管理運営しています。高架下のテナント賃料で運営費を賄っているため、通行料金は無料であるという、珍しい運営形態をとっています。
実はこの「KK線」、もともとは首都高の路線として建設される計画でした。当時の東京都の都市計画で規定された「都市高速道路第8号線」が、京橋から銀座を経由して汐留までを結ぶものとして今でも法令上に残っています。これを東京高速道路が担当することとなりました。京橋JCTへの取付部は首都高が担当し、互いに新京橋地点で接続することになったため、その短い首都高担当分が便宜上「首都高8号線」と名付けられたのです。
さて、この「首都高8号線」が、「KK線」とともに、消滅を迎えます。東京都は2022年2月に「東京都市計画道路 都市高速道路第1号線等の変更(素案)」を発表。八重洲線から京橋方面へつなぐ新線「新京橋連結路」を2035年めどに開通させるとしています。
これは首都高C1都心環状線の一部、神田橋~江戸橋~京橋のルートを、八重洲線経由にスイッチするのが目的です。KK線は大型車が通行不可のため、この新ネットワークに組み込むことができません。また、KK線は直角カーブが複数あるなど、安全面でも課題がありました。これらの背景から、上記の変更素案で、KK線・8号線は廃止が決まったのです。
では、廃止後の高速道路構造物はどうなるのでしょうか。都では、KK線の道路部について、2021年3月に「東京高速道路(KK線) 再生方針」を策定。「上部空間を歩行者中心の公共的空間として再生・活用」するという目標のもと、「空中回廊の創造」という表現を用いて、検討を進めていくとしています。
【了】
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