「積んどくモデラー」の楽しみ方 プラモ買っても作らない派がグッとくるポイントとは

プラモデルを作らずに、箱を積んでおくだけという「積んどくモデラー」。彼らはどうプラモデルを楽しむのでしょうか。“積んどく派”がグッときそうな演出がなされた南極観測船「宗谷」の新型プラモデルから、楽しみ方を探ります。

“作る前”から全てわかるのだ!

 このキットに付属するエッチングパーツをよく見ると、宗谷の乗組員が10人、刻印されています。切り取って甲板に立たせれば、宗谷のプラモデルに生活感が出るでしょう。また、宗谷に乗っていた犬12匹と飼い猫の「たけし」も彫られています。実際に宗谷には、犬ぞりを引かせるための樺太犬やペットとして猫も乗っていました。

 このように、船にまつわるさまざまな情報をパーツとして同梱することで、キットの持つ世界観を一挙に広げているのです。もちろん、作るか作らないかは別として。しかし冒頭で紹介した“積んどくモデラー”には、ちょっと響くポイントになりそうです。

 このようなタイプのモデラーは、箱を開けて中身を眺めては、そのキットのパーツの出来栄えに感嘆したり、製作するときの工程、完成した時の満足感を想像したりして楽しみます。これは、パッケージ商品としてのプラモデルを楽しむひとつのやり方でもあり、そこでは、キットそのものがどれぐらい豊かな世界観をパッケージしているかがキモになるのです。この商品独自の世界観は、“積んどくモデラー”以外のユーザーが店頭で商品を見た時に、直感的に魅力を感じる大きな要素ともなります。

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プラモデルは“キットの完成度”も大きなポイントだ(アルタープレス撮影)。

 1956年11月8日、宗谷が初代南極観測船として初めて出港した時には、晴海埠頭に1万人もの人々が見送りに駆けつけたそうです。宗谷が何度も改造され、いま無事に船の科学館で平和な余生を送れているのは、戦前~戦中を通してたくさんの人たちが関わっていたおかげです。

 そのような思いをめぐらせたうえで、もう一度キットを見てみると、エッチングパーツで乗組員や動物が付属することによって、“宗谷のプラモデル”という商品に、温かい命が宿ってくるような気がしてきます。

【了】

【完成度高い!】ハセガワ製1/1350「宗谷」

Writer:

プラモデル業界、アニメ業界を積極的に取材するプロライター。『ホビージャパン ヴィンテージ』の巻頭特集を構成・執筆。著書に『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』『親子で楽しむ かんたんプラモデル』など。

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