日本の「極超音速エンジン」開発へ一歩「スクラムジェット燃焼」 40年越し大実験の意義

JAXAが鹿児島県から打ち上げたスクラムジェット燃焼試験用のロケット「S-520-RD1」。今回の試験は、関係者にとって40年越しの悲願になったそう。その理由と、今回の試験が抱えていた2つの大きな意味を探ります。

マッハ5.5出るか実際にやってみた

 日本のスクラムジェットエンジン開発は、1980年代に当時のNAL(航空宇宙技術研究所、現JAXA)が運営していた角田宇宙推進技術研究所(現JAXA角田宇宙センター)を中心に始まりました。これまで、風洞試験によってマッハ8の飛行条件で推力を生み出すことに成功するなど、一定の成果を上げています。

 しかし、試験は風洞内に限られていました。会見時に谷さんが行った説明によれば、JAXAが保有する風洞内でマッハ5.5という空気の流れを実現しようとすると、空気をおよそ2100度まで加熱する必要があるとのこと。加熱は2段階で行われますが、後段の加熱では液体酸素と液体水素を空気に吹き込んで燃焼させるため、普通の空気と比べて水分量がかなり多くなってしまい、実験結果に悪影響が出ていたといいます。

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供試体(試験に使うモデル)(画像:JAXA)

 この状況を打開するため、今回は全く同じ試験モデルを2つ作り、片方は大気中で飛ばし、もう片方は風洞内で実験することにしています。両者のデータを比べれば、風洞内実験と大気中実験での傾向の違いがわかるため、風洞実験のデータを補正して大気中の結果を予測するツールができます。

 なお、ツールとはいえ、工具のような物理的な存在ではなく、風洞試験で得られた数値を補正し、「大気中だとこのような結果になるだろう」と予測結果をはじき出すプログラムのようなものだといえるでしょう。

 S-520-RD1の実験は、大気中で本当にスクラムジェット燃焼が可能か試験することで設計が妥当かを調べることと、補正ツールのための基礎データを取得することを目的にしているのです。

【距離5mの至近から】小型といってもデカい「S-520」ロケットを前から左右から

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