別府が誇る絶景“秘境路線バス”ついに廃止 温泉街育てたバス界の個性派「亀の井バス」の今

地元+バス+フェリー+大学+市役所総出!それぞれの棚田の愛し方

 これまで別府市、内成地区と亀の井バスは一体となって、長らく低迷が続いていた内成線を盛り立ててきました。なぜいま、廃止となるのでしょうか。

 棚田や秘境を眺めることができる亀の井バス内成線の営業成績は、周辺地域の過疎化もあって以前から芳しくはなかったといいます。しかし「日本の棚田100選」に選定されて以降、徐々に注目が集まるように。「このバスに乗車しに来た」という人も目立つようになってきたといいます。

 これを受け亀の井バスは、内成線の運用につくバス車両に棚田や沿線風景のラッピングを施し、車内には沿線の四季の風景を展示、方向幕も「内成棚田」にするといったPRを実施。専用のホームページ「内成線・ろせんバスの旅」やガイドブックでは、バスの折り返し時間に合わせたウォーキングコースを提案するなど、1日数往復の路線と思えないほど、手厚い乗車促進策を打ち出していました。

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亀の井バスが制作した内成棚田とバスのガイドブック。駅の鮟鱇案内所によると、まだ在庫があるとのこと(宮武和多哉撮影)。

 しかし内成線の地域の高齢化は進み、約1300枚もの棚田で4分の1ほどの耕作放棄地が生じるように。そこで、棚田の保存を目指す「内成活性化協議会」と亀の井バス、そして別府にターミナルを持つ「フェリーさんふらわあ」、地元の大学、市役所などが総出で、ヒマワリやコスモス、マリーゴールドなどを植え、新たな観光資源として鑑賞会なども開いていました。全国的には温泉地として知られる別府市の、新たな名物を作るための動きと言えるでしょう。

ここまでしてきたのに…なぜ廃止?

 亀の井バスはこれまで維持してきた内成線の廃止に踏み切りました。全国有数の温泉街・別府市を本拠地とする同社は観光地の貸切バスに頼るところが大きく、2020年にはコロナ禍でそのうち9割がキャンセルに。あまりにも急激な業績のブレーキに対応できず、赤字路線の整理に踏み切らざるを得ませんでした。

 さらに、車両の老朽化も追い打ちをかけました。内成線の専用車両となっている日野リエッセ(KK-RX4JFEA・平成12年式)は製造から20年以上が経過。その走行条件の過酷さや、亀の井バスが他に小型車両をほぼ持ち合わせていないこともあり、これ以上のメンテナンスが難しかったといいます。

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