デカいスゴイ!のはずが…タイ初の空母にして最大の現役艦どう活用? 動かすと金かかる…
無人機活用で風向き変わる…か?
タイ海軍の「チャクリ・ナルエベト」を博物館/美術館にしておくつもりはないようで、有効活用を模索しています。その一環として、2021年に固定翼無人航空機「MARCUS-B」の運用試験を行いました。
同機は全長2.5m、主翼幅4.3mの小型無人航空機で、偵察用の器材しか搭載できませんが、海軍のヘリコプター保有数が30機程度のタイ海軍にとって、貴重な洋上航空偵察手段となることは間違いありません。
無人機によって存在感を増した空母の例としては、トルコ海軍の強襲揚陸艦「アナドル」が挙げられます。同艦は、アメリカとの関係悪化でF-35Bの導入が事実上不可能になったことから、当初想定していた軽空母としての運用も困難になりました。しかしロシアのウクライナ侵攻で世界的にその名を知られるようになった「バイラクタルTB2」のメーカーであるバイカル・バイカル・エアロスペースが、バイラクタルTB2の艦載機型「バイラクタルTB3」の開発計画を発表したことで、無人機空母という、新たな活用策が見いだされています。
タイ海軍は2022年8月29日から9月1日までバンコクで開催された防衛総合イベント「ディフェンス・アンド・セキュリティ2022」でMURCUS-Bを展示しています。
もしかすればMURCUS-Bによって、「チャクリ・ナルエベト」も無人機空母として活用されるのでは……そんな期待を込めてタイ海軍の方に質問してみたところ「チャクリ・ナルエベトは動かすとお金がかかるんで、MURCUS-Bは水上戦闘艦から優先配備される予定だよ」とのことでした。
「チャクリ・ナルエベト」が博物館/美術館扱いを脱するまでには、まだ時間がかかりそうです。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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