自賠責の運用益6000億円を借入「申し訳ないと思う」鈴木財務相 来年度から「賦課金」さらに国民負担へ

返済のロードマップ作成を求める...制度を考える会

 ただ、一般会計からこの特別会計への返済は、全額返済を前提としながらも、財政状況が許す限りのいわゆる“自由返済”です。返済額は一定せず、大臣間合意で目安は定められましたが、時の大臣が再合意することで完済の時期は延長されてきました。

 自動車事故で意識が戻らないまま寝たきり状態にある被害者家族や自動車関連団体を中心に構成された「自動車損害賠償保障制度を考える会」(座長=日本大学・福田弥夫危機管理学部長)は、財務省の秋野公造副大臣、斉藤鉄夫国交相と面会。「早期かつ着実な返済」を要望しました。

 要望を受けた財務省・秋野氏は副大臣就任前、返済方法について国会で次のように麻生前財務相へ指摘しています。

「(自動車安全特別会計の財源となる積立金の)取崩しが少なくともゼロになるような状況までは頑張っていただきたいと、改めて大臣にお願いをしたいと思います」

 巨額すぎる返済は容易ではありませんが、積立金を取り崩さないレベルまで返済額が引上げられることで財源を守ることができます。現・鈴木財務相は、どのように考えるのでしょうか。

「先の国会で成立した自賠責法改正で新たな賦課金制度が導入されたことは承知しているが、一般会計からの繰り戻しは賦課金いかんに関わらず着実に進めていきたい」

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「自動車損害賠償保障制度を考える会」の要望を聞く秋野公造財務副大臣(中島みなみ撮影)。

 考える会の福田座長は、財務省と国交省に対して、具体策を提案します。

「返済には計画が必要。すぐにはできないかもしれないけど、(両省に)踏み込んでいただきロードマップを示していただきたい、というお願いをした」

 来年度の返済額について、国交省は予算額を明示しない「事項要求」として財務省と話し合っています。12月下旬には来年度の予算案として、自動車ユーザーにも周知される予定です。

【了】

【返して】自賠責の使い道 画像で見る(枯渇危機)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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コメント

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7件のコメント

  1. 泥棒に追い銭。返済計画もなく、利息もつかないから税金が取れたらそのうち払いますくらいのもんだろ。返す気ないやん。世間の普通の人はこんな見込みのない連中に金貸そうという奴はいない。

  2. 申し訳なく思いますって
    役人凄いね
    私 末端な人ですが 私がやらかしたら 犯罪者になるのです
    日本国 大丈夫ですか?

  3. 役人ってのはすごいね。
    自分らの落ち度は申し訳ないの一言で後は増税しまーすだもんな。
    減給して返済します、とかの発想は皆無なんだろうか??
    国の金の管理は一体どうなってんの??

  4. 単なる借金の踏み倒しを国がしたって話。

    もう、法治国家とは言えないレベルなんだけどね。
    鈴木大臣…今回のは選出県民として恥ずかしい。情けない。
    所詮、大臣なんて官僚の原稿を読むだけの操り人形なんだね、恥を知れ❗

  5. 申し訳ないと思うなら、まず自分たちの給料へらすとかボーナスなしにするとかやれよ。なんで悪くない国民が負担するのかね。

  6. こんなもの、国債発行すれば一瞬で返せるやん。国債は借金じゃありません。お金の発行そのもの。

  7. こんな暴挙を許しては、自賠責に入らない人を増やしたりする。
    その結果事故増加→支払激増→更な財務悪化と、負のスパイラルへの道しか残って無い。