世界が驚愕の「旅客機宙返り」伝説が始まり? ボーイング最初のジェット旅客機が生まれるまで
367-80と707はどこが違う? 型式名が「707」となったワケ
その後、367-80をベースとし、航空会社からの要望にこたえ、胴体を大型化するなどの改修を加えられた旅客機が707です。同型機の仕様は、ライバル機であるダグラス社のDC-8を大いに意識したと窺えるものとなっており、DC-8と比べても広い客室や、時速32km速い巡航スピードなどがアピールされました。
ボーイング社はジェット旅客機の型式に空き番であった700番代を付与することに決め、最初の707は当初「モデル700」という番号を与えられました。ただ、このモデル番号は同社のマーケティング部門の意見を踏まえ「707」に。以降同社のジェット旅客機は、7で始まり7で終わる3桁のモデル番号があてがわれることになりました。
707は、その後1958年にパン・アメリカン航空(パンナム)で就航。最終的には900機弱生産されたヒット機となりました。ちなみに、ライバル機であったダグラスDC-8は600機弱が製造されています。
一方日本では、JAL(日本航空)はそれまでのダグラス社との提携関係からかDC-8を採用。国内航空会社で707を採用したエアラインはありませんでした。ただ、羽田空港などの国際空港ではパンナム機などを始めとして707が日常的に運用されており、ジェット・エンジンから排出される黒い排気ガスが見られたものです。
同社のジェット旅客機における“礎”を築いた707ですが、その名残は、実は65年たった現代のボーイング社の旅客機にも残っています。707の胴体設計は、後発のジェット旅客機たちにも継承。3発ジェット機の727、そして2021年現在も日本、世界の空で数多く飛んでいるベストセラー機「737」が、707の胴体設計を引き継いだものとなっています。
【了】
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