議論呼ぶ「安倍晋三国際空港」、海外版は多数存在 “人名の空港”はどう誕生していったか

欧州にある “安倍晋三 国際空港”的な空港

●フランス・パリ「シャルル・ド・ゴール空港」

 多くの日本人にとって憧れの渡航地、フランス・パリに旅行する際の玄関口は、パリ郊外にある「シャルル・ド・ゴール空港」です。

 1960年代、旅客機のジェット化に伴い、それまでの空港では手狭となった一方で、パリには既存の空港では拡張が困難なことから、パリ郊外のロワシー地方に新たな空港建設が始まりました。この空港は1964年から建設工事を開始し、1974年に新たな国際線用空港シャルル・ド・ゴール空港として開港しました。現在は計4本の滑走路を運用し、日本からはJAL、ANAなどが就航しています。なお、地元では空港の存在する土地の名称からロワシー空港とも呼ばれているのだそうです。

 名前が冠されたシャルル・ド・ゴール(本名:シャルル・アンドレ・ジョセフ・マリー・ド・ゴール)氏は、第一次世界大戦には陸軍に所属し、第二次世界大戦中には自由フランス軍を樹立してナチス・ドイツに対抗し、後にフランス大統領を務めた人物で、フランスの独自性を打ち出した政治家です。空港のほかにも、フランス海軍の空母にも同氏の名が冠されるなど、同国を代表する偉人の一人といえるでしょう。

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ニューヨーク「ジョン・F・ケネディ空港(同社公式Facebookより)

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 なお、このほかに特定の人名がついた空港は、まだまだ存在します。テキサス州のジョージ・ブッシュ・ヒューストン空港、ヴァージニア州ワシントンのロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港など。

 一方日本では、人名を冠した空港はまだ、高知龍馬空港ぐらいしかありません(その一方でアニメキャラや「おいしい」など謎の形容詞がついた空港はどんどん増えていますが……)。「安倍晋三 国際空港」はともかくとして、これから日本にも、こういった「著名な政治家や偉人を冠した空港」が増えることがあるのでしょうか。

【了】

【写真】自称「破壊的設計」!シャルル・ド・ゴール空港のT1の構造が異形すぎる

Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

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7件のコメント

  1. もしそんな名前になったら、2度と使わない! ここはアメリカじゃない。

  2. 「パリ=シャルル・ド・ゴール空港」と「ローマ=レオナルド・ダ・ヴィンチ空港」ならば後者のほうに共感を覚える。たかが総理大臣経験者の名を空港名に用いるなら、まずは運慶や光琳や若冲や北斎の名を冠するほうが「美しい国」にふさわしい。

  3. 美しい国を体現し病魔に抗いながら再チャレンジと戦後最大の日本の隆盛を実現してくださった安倍晋三首相閣下の名を冠する空港なら大賛成なはず。本当に日本人ならばね。

  4. 当該政治家を嫌いなテロリストの格好の標的になりそう。

  5. 成田や羽田じゃなくて、安倍晋三元総理の出身地に近い山口宇部空港の方がいいんじゃないか。
    ちなみに海外では人名をつけた軍艦が多いが、日本では帝国海軍も含めて人名が由来のフネはない。これは明治時代に海軍が「歴代の天皇や著名な人の名前をつけたく存じます」と上申して明治天皇が「もし沈没したらどうするのか」と問われてやめた経緯から。

  6. ネトウヨしか喜ばねえだろ

  7. 日本人は特に下の名前で呼ばれることに抵抗があるからフルネームってわけにはいかないだろう。社名とかには名字が使われていたりするから安倍空港とかだったらわんちゃんあり。