「世界一危険な空港」に行ってきた 激短滑走路の先には崖! 驚きの離着陸事情

ネパールの街ルクラにあるテンジン・ヒラリー空港は、世界で最も危ない空港として知られた場所。なぜそう呼ばれるのか現地へ行って確かめてきました。滑走路長500m強しかない小さな空港ですが、重要な役割があります。

富士山7合目よりも高い場所にある空港

 ネパールの首都カトマンズから東に約130kmの距離にあるルクラという街は、世界最高峰のエベレスト(チョモランマ)に向かうための玄関口です。そこにある小さな空港、テンジン・ヒラリー空港は、「世界一危険な空港」として有名なところ。なぜ、そのように呼ばれるのか、現地で実際に空港施設を見てきました。

 そもそも、このテンジン・ヒラリー空港、2008(平成20)年1月までは、町の名前から「ルクラ空港」と呼ばれていました。しかし、エベレスト初登頂に成功したネパール人シェルパ族のひとりテンジン・ノルゲイと、イギリス人登山家エドモンド・ヒラリー、両名の名前を採って、現在のテンジン・ヒラリー空港へと名前を変えています。

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テンジン・ヒラリー空港に面した東北東側の滑走路を見渡せる場所で離陸を待つ筆者(斎藤大乗撮影)。

 ここへはカトマンズから空路で向かうことができ、日本でも一時期運航されていた双発プロペラ機デハビランドDHC-6なら、飛行時間にして30分ほど。ただ、テンジン・ヒラリー空港の標高は約2860mとかなり高く、なおかつ山に囲まれているため、天候が急変しやすい場所でもあります。

 筆者(斎藤大乗:元自衛官ライター/僧侶)も朝6時10分の始発便でルクラ(テンジン・ヒラリー空港)へ向かおうとしたところ天候待ちに合い、ようやく待ちが解除され機内に搭乗すると、またしても天候の影響で待機になるというありさまでした。最終的に約5時間、天候待ちをしたのち、飛行機は離陸しましたが、同乗者からは5時間で済んで良かったとの声が上がったほどです。

 テンジン・ヒラリー空港の滑走路は、長さわずか527mしかありません。滑走路はおおむね東北東から西南西にかけて設けられていますが、東北東側は山になっているため、こちらから着陸進入ができません。では西南西方面から進入する場合はどうかというと、こちらも進入しようとすると滑走路のさらに南西の延長線上に山があるため、そこを避けるべく大きく右に旋回する必要があります。

 しかも東北東の滑走路端には、急峻な崖が迫っています。ゆえに着陸復行(ゴーアラウンド)は難しく、離陸時に速度を誤ると崖下におちてしまうことになります。そのような挙動をしつつ、上空から527mしかない滑走路を客席から操縦室越しに見ると、さながら艦橋がそびえる空母に着艦するかのような気分になりました。

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