離陸直前「爆破予告を受けた飛行機」はどうなる? 卑劣行為発生の裏側 関係者の苦労とは

「爆破予告を受けた便」は何をしていたのか

 その知人は「東京都内の支店へ、貨物に爆弾を仕掛けたと、電話があった」と、声を潜めて答えました。機体が長時間駐機したのは、その爆破予告をうけ、貨物室に積んでいた全ての貨物を降ろして、爆発物がないか点検していたとのことです。

 確かによく見ると、機体ではいったん積んだ貨物を降ろす作業が繰り広げられていました。その便は、旅客ビルの出発ロビーからは見えにくい角度で止まっていたために、ロビー内の乗客が大騒ぎになることはありませんでした。しかし、事情を知って見ると、物々しさは一層募りました。

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ジェットスター・ジャパンの旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。

 結局、爆発物を含めた不審物は見つからずに、この便は夜になって出発しました。「貨物を再度積み込む時は、重量物などをどう積むかあらかじめ把握しているので、さほど時間はかからないが……」。そう答える知人の声がひどく疲れていたのは、今も覚えています。

 2023年1月に「金を用意しろ」と爆破予告を受けた台湾のスターラックス航空便も、筆者が見た「ジャンボ機」と同じように、乗客や荷物を降ろして爆発物がないかを確認し約1時間半遅れで出発しています。7日のジェットスター・ジャパン便はそのまま出発したのちに緊急着陸をしましたが、中部空港での緊急脱出時に軽傷ながらもけが人が発生しています。

 今回の2件の電話は、発信元がドイツと通知されていたということで、現在千葉県警が捜査していますが、こういった事件は、乗客に迷惑をかけるだけでなく、航空会社や空港会社など、旅客機に関わるすべての人を不安にさせます。予告を受けた航空会社の人がどんな苦労をしているか――過去にそれを知った筆者は、年月を経てもやまない不快な行為に怒りを覚えました。

【了】

【写真】2日に爆破予告を受けた「スターラックス航空」の外観

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