今日も盗まれるランクル、プリウス…動かぬ国 「件数は激減」新たな対策は本当に必要ないのか

自動車盗難の被害が相次いでいます。もはや“ビジネス”として、犯行の組織化、凶悪化も目立ちますが、盗難被害の件数自体は、長年の取り組みから大きく減っています。ここから行政側と被害者感情のズレが浮かび上がってきます。

ビジネス化する自動車盗 被害者は「ヤード規制」立法訴え

 自動車盗がビジネス化していることは、警察庁のレポートも指摘しています。その実態について、「犯罪グループが組織的に関与」「暴力団や犯罪組織の資金源になっているものがある」「盗まれた車両は、ヤードに運ばれ、不正に解体されているものがあります」と分析します。

 ヤードとは車両の解体作業場のことで、輸出用に車体を部品に分解します。この作業場所が、盗難車の痕跡を消すため不正に使われていることがあります。こうした状態が把握されていても、今まで法規制は重視されませんでした。

 現状で「ヤード規制」は、都道府県の条例頼みです。

 自動車盗の発生は地域差が大きく、全国の60.8%を占める千葉県、愛知県、茨城県、大阪府、埼玉県の5府県のうち、大阪を除く4県では独自に条例を制定しています。しかし、多発地域に隣接する東京都、神奈川県、岐阜県、兵庫県などでも年100件以上の認知件数がありますが、条例はありません。

 被害者団体「車両盗難を厳罰化推進の会」は、ヤードを規制することが効果的だと、法律にすることを求めています。SNS上の声です。

「愛知県もヤード取り締まり強化条例を制定したが、ワーストを突っ走る茨城県は『茨城県ヤードにおける自動車の適正な取扱いの確保に関する条例』を平成29年4月1日に施行しても焼け石に水」

「また神奈川、取り締まりの強化の為にも各県警の連携強化と、取り急ぎヤード条例の制定を」

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ヤードの例(画像:千葉県警)。

 施錠や防犯装置の搭載などユーザー側の“自衛”や、都道府県警察の“現場力”で盗難は確かに激減しました。しかし、条例のない地域では、捜査の過程でしかヤードの実態が把握できません。条例のない大阪府八尾市では、盗難車を制止させる警察官の発砲(1月13日)があったばかりです。その先の対策が検討されるべき時にきています。

【了】

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Writer:

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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