「遊園地みたい」首都高のぐるぐる「大橋JCT」にタイ人技術者も感激 日本の高速道路に学んだこと
首都高が海外協力事業の一環で、タイから来た技術職員を大橋JCTに招いて「バイク隊」を紹介しました。都市の複雑なトンネル構造だからこその管理体制、どのような現場視察になったのでしょうか。
長い「都心地下トンネル」守る特殊装備
首都高速道路は2023年2月17日、タイ高速道路公社との技術支援活動の一環で、技術職員を招き、バイク隊の現場視察研修を開きました。場所は3号渋谷線とC2中央環状線が接続する大橋JCTです。
日本にやってきたのは、「タイ高速道路公社(EXAT)」で保全関係の仕事に就く4名の職員。午前中には「橋桁まるごと架け替え」という工事が進む羽田の首都高大師橋を視察しています。
タイの首都・バンコクの高速道路は、50年の歴史を持ちます。これは首都高と10年ほどしか変わらず、同じく古参の部類に入ります。また総延長も首都高の327kmに対し225kmとやはり長大で、交通量は1日150万台にも達します。ただオーソドックスな高架橋の高速のみで、中央環状線の山手トンネルのような、地下の高速道路は有していません。
いっぽう首都高が、中央環状線の長大な地下トンネル区間ならではの防災対策として導入しているのが、バイク隊です。24時間体制で待機し、非常時などは迅速に現場に到着し、車両誘導などを行うのに強みとなります。使用車両は黄色く塗られた「ホンダCB400」で、常に2人組で行動。転倒に備えて、プロテクターだけでなく、ベストタイプのエアバッグを着用しています。これらの装備や出動体制について、タイの職員たちは担当隊員から話を聞いていました。
ちなみに、タイの高速道路にも「バイク隊」はいるとのこと。ただし車両誘導ではなく事故処理などがメインで、バイクには常に消火器を積み込んでいるのだとか。
首都高の海外事業部門は、アジアを中心に道路管理をはじめとする技術支援を行ってきました。タイとは2010年に覚書を締結し、技術交流が行われてきています。逆にタイから日本が学ぶことはあるのでしょうか。担当者は「電気自動車がバンコクを中心に普及が進んでいて、その点で日本に対し先進的であると感じています」と話します。
現場視察を終えて隊員たちは「大師橋で点検用に設置された「恒久足場」が印象的でした。タイはまだこうした、作ったあとに点検し維持管理していくための施設が無いため、参考にしていきたいです」と感想を話しました。なお、地下から高架へ高低差70mをらせん構造で一気につなぐ奇想天外な「大橋JCT」については、「遊園地みたいにグルグル回っている道路で、こんなところがあるのか…と感じました」と興奮していました。
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