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「機動舟艇」の選定における「CAIMEN-90」の勝算

「機動舟艇」は、「陸上自衛隊の部隊や車両、物資などが、全国各地から南西諸島方面へと速やかに展開できるよう用いられるもの」で、まさに前述した揚陸艇のような船舶の導入が予定されています。BMT社は、この機動舟艇への採用も見据えて、今回「CAIMEN-90」を展示したというわけです。

「CAIMEN-90」ならば、模型で示されている16式機動戦闘車(26t)はもちろん、10式戦車(44t)なども輸送することができるほか、12式地対艦誘導弾や03式中距離地対空誘導弾の構成車両なども輸送することが可能と見られます。さらに、航続距離は930km以上であり、先述した速力も踏まえると、九州と沖縄本島間、さらには離島間などで、迅速にピストン輸送を実施することも可能です。また、サンゴ礁や岩礁に囲まれた島々にも難なく部隊を上陸させることができる点も重要でしょう。

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アメリカ陸軍が開発するMSV(L)のプロトタイプ(画像:アメリカ陸軍)。

 今後、この機動舟艇に関しては、防衛省が契約を結ぶ企業を募ることになり、そして2028年3月までに建造および配備が行われることになると見られています。その運用は、陸上および海上自衛隊の共同部隊である「海上輸送部隊」で実施されることになると思われます。

 その点、BMT社が設計した揚陸艇は、アメリカ陸軍の新型輸送船である「MSV(L)(軽機動支援船)」に採用されており、機動舟艇に関しても有力候補のひとつとなることでしょう。

【了】

【画像】「CAIMEN-90」の三面イメージ

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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