GWまでスタッドレスタイヤなの? どう考えても危険で不経済な理由 結局は手痛い出費に?

履き替えないのは「不経済」 運転も注意が必要に

 したがって、暖かい時期に小雨以上の雨が降る中、車速が高い高速道路などを走行すると、スリップやハイドロプレーニング現象のリスクが高まります。こうしたリスクを避けるために、車速を下げたり、制動距離確保のため車間に余裕を持たせたり、加速やブレーキを緩やかにするといった注意が常に必要になります。

 そのような運転を強いられると、五月晴れの天候では目的地に着くまで時間がかかるうえ、運転中は常時ストレスを感じ続ける、ということになってしまうでしょう。

 時間と精神面でのデメリットに加え、経済面でも不利なことが生じます。乾いた路面でグリップや転がり抵抗が悪化するので、燃費が悪化しやすくなるのです。

 加えて、ゴム部分が柔らかいスタッドレスタイヤは、本来想定されていない温かい路面での使用を続けると、摩耗が急速に進みます。これは夏タイヤを路面温度が低い状況で使った場合も同様であり、タイヤはそれぞれ想定された路面温度で使用するようになっているのです。

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スタッドレスタイヤで春の雨を走るのは危険をともなう(小林祐史撮影)。

 また摩耗が早まるとともに、偏摩耗の弊害も発生します。ブロックがノコギリ刃状に偏摩耗する「ヒール&トウ摩耗」の状態になれば、さらにグリップや制動、燃費が悪化し、次の冬シーズンにはもはやグリップ力を発揮できなくなってしまいます。

 出費を躊躇して夏タイヤの買い替えを先送りにした場合、次の冬には新しいスタッドレスタイヤの購入を迫られるかもしれません。これでは経済的には何の意味もありません。経済性をきちんと考慮するなら、季節ごとに適したタイヤを装着する、もしくはオールシーズンタイヤの導入を検討するのが得策といえるでしょう。

【了】

【だから春は「危ない」】スタッドレスタイヤの構造(写真で見る)

Writer: 小林祐史(ライター、カメラマン)

プラモデル雑誌の編集部から独立し、フリーランスライター、カメラマンに。バイク、車関連はモータースポーツからスタートしたが、近年は交通安全や道路事情等も取材。ドローン操縦にも挑戦中です。

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コメント

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4件のコメント

  1. タイヤの高速耐久テストはタイヤ種類関係なく同じ条件で行なわれているので、スタッドレスが高速走行でバーストするとかは、空気圧とスピードインデックス(スタッドレスは大体Qで160km/h、でもこれも空気圧と荷重で変わります)を守っている限り、設計・製造不良が無ければ起こりません。
    ノコギリ摩耗も路面温度は関係無く、起こるタイヤ(パターン)は冬のみの走行でも、摩耗する条件なら起こります。
    ドライ&ウェット性能は相対的に低めだけど、危険なレベルの製品はメーカーが発売しない。
    夏のスタッドレスタイヤを悪者にしたいみたいだけど、「S660に比べてN-VANのハンドリングは劣る、だから危険だ」と言っている様なもので、大袈裟にあおり過ぎだと思う。

  2. オールシーズンタイヤ購入して使用するほうが、あらゆる道において、よっぽど危険でよっぽど余計な出費である。
    スタッドレスが記事のような危険な領域になるのは法定速度の1.5倍の速度に達した頃であるからね。

  3. その雨に対して強いのが、ミシュランのスタッドレス。ヨーロッパだと、雨の中210キロで走らないといけないので、高速でのタイヤの剛性もアクプレーニングの起こりにくさも、日本のスタッドレスとは比較になりません。なんで、北海道でヨーロッパ製のスタッドレスが人気ないのか理解できません。

  4. 平地の日中だけしか車を使用しないのであれば、夏タイヤに替えてもいいと思いますが、レジャーor仕事で、峠越え、夜間の走行もあり得る北海道ではGW過ぎるまでは冬タイヤが良いと思います。文中にあるように出費を躊躇して冬タイヤを履き続ける…って人はそういないと思います。むしろ早く夏タイヤに履き替えたいが、危険なので連休までは履き続ける…というのが大半ではないでしょうか?実際連休中の雪、凍結路面での立ち往生、事故など少なくありません。確かにスタッドレスタイヤは積雪凍結路面以外はサマータイヤに較べ全てにおいて性能は落ちるでしょうが、だからといって通常の走行で危険というほどではありません。サマータイヤで凍結路面を走る方が何倍も危険だと言うことを、伝えて頂ければと思います。