迅速・お手軽・頼りになる! 旧陸軍「九八式直接協同偵察機」が初飛行-1938.4.20 万能すぎて練習機にも

師団長の独断で命令OK

 加えて九八式直協の運用に関して大きな特徴といえたのが、配備先にありました。同機を運用したのは、地上の基幹戦闘単位である師団司令部に属していたという点です。偵察機や爆撃機は師団の上位にあたる軍司令部が受け持っており、師団の独自判断で運用することができないという難点がありましたが、同機は師団長が必要だと考えれば、即座に飛ばすことができたため、前線部隊にとっては「痒い所に手が届く」頼りになる航空機だったのです。

 そのため、偵察以外に、地上攻撃機としても重用されることになります。同機の武装は7.7mm機銃が前方と後方にそれぞれ1挺、そして250kg爆弾1発もしくは、12.5kg爆弾10発を吊り下げることができました。ほかの爆撃機や攻撃機などと比べると、地上攻撃を担うには決して優れているとはいえない武装ではあったものの、地上部隊の状況に応じて柔軟な支援がスピーディーに行えるということで、前線部隊の目の前にある敵陣地などをピンポイントで攻撃して無力化してくれるなど、現代戦における「近接航空支援」に通じる、通常の偵察部隊にはない頼もしさがありました。
 
 また、同機は操縦が容易であったことから、練習機にも転用されることが計画されます。こうして生まれたのが、派生型である九九式高等練習機で、こちらも旧日本陸軍に制式採用されました。

 なお、1945(昭和20)年夏の終戦後もインドネシアや中国などで九八式直協は残存しており、中国の国共内戦やインドネシア独立戦争などにも投入され、1950年代まで使われていたとのこと。なお、九九式高等練習機に関してはタイ空軍が1951(昭和26)年まで運用していました。

【了】

【海外には現存!】九八式直接協同偵察機の練習機タイプである九九式高等練習機(写真)

Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

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コメント

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1件のコメント

  1. 米軍の識別帳には本機の平面形、側面形を持つ架空機が
    98式戦闘機(2門の7.7mm機銃と20mm機関砲を持つ複座戦闘機、陸海軍共用機、情報更新により陸軍機に修正)
    三菱ミツ104(98式)軽爆撃機(爆弾搭載量1.5t、陸軍機)
    三菱98式偵察爆撃機(陸軍機、ミツ104とは別型)
    と複数登場しますから何かあるとすぐに飛んでくる本機は戦場でよく見かけたのでしょうね。
    情報に大体共通しているのは98という数字と、陸軍機、三菱製(間違い)ということですが、
    軽爆や襲撃機などの他機種の情報も錯綜して存在に気づいてから大分時間がたっても
    正確な情報がわざわざ不正確な情報に置き換わるなど良く分からない機体のままだったようです。