戦闘機そんな派手にしていいの!? 思いっきりドレスアップしたドイツ軍機 イスラエルへ飛んだ理由
「エア・アンバサダー」で来日した独空軍総監、今回もイスラエルへ
ドイツ空軍というと、昨年(2022年)にインド・アジア地域への大規模展開訓練「ラピッド・パシフィック2022」を行った際、その訓練を象徴する特別塗装のユーロファイター戦闘機「エア・アンバサダー(空飛ぶ親善大使)」を用意し、訓練の最終工程では航空自衛隊の百里基地にも飛来して、話題になったのが記憶に新しいところです。
今回の「イーグル・スター2.0」も、「エア・アンバサダー」と同じくドイツ空軍が用意した特別塗装機です。ただ、その名前からわかるとおり、じつは2代目で、初代「イーグル・スター」は2021年にイスラエルで行われた「ブルー・フラッグ 2021」演習にドイツ空軍が参加するときに準備されたものだそう。今回の「2.0」はそれに続くものであり、ドイツ空軍にとっては、ドイツとイスラエルの交流を象徴する存在として用意したもののようです。
実はドイツ空軍とイスラエル空軍の交流は、軍事演習を通じて以前から行われており、イスラエルで実施される「ブルー・フラッグ」演習にドイツ空軍は2017年から参加しています。一方のイスラエル空軍も、2020年にドイツで実施された「ブルーウイングス2020」演習に参加すべく、ドイツ本国に戦闘機を派遣しており、このように両国の戦闘機は相互に行き来することで、軍事演習を通じて信頼関係を醸成しているといえるでしょう。
なお昨年、ユーロファイター戦闘機を自ら操縦して来日したドイツ空軍総監インゴ・ゲルハルツ中将も今回のイスラエル展開に参加しており、セレモニー参加後に展開部隊がドイツ本国へと帰還する際には、やはり「イーグル・スター2.0」の操縦かんを自ら握って、3回の空中給油を含む6時間もの長距離飛行を無事こなしたそうです。
ドイツ空軍が「エア・アンバサダー」や「イーグル・スター2.0」のような特別塗装機を用意し、活用している様子を見ていると、他国に特別塗装機を派遣し軍事的な交流を図ることが、結果として国家間の信頼を醸成する働きをしていることがわかるのではないでしょうか。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
総統が見たら悲しみますぞ…