どうしてこんなに地味なんだろう「JR草津線」 国鉄型も静かに消えた京都の近郊線 実は“134歳”
8両が満員になる京都近郊の穴場
そんな草津線ですが、朝ラッシュ時間帯は様変わりします。8両編成の電車は通勤通学客で満員です。
特に草津~貴生川間の2019年度の輸送密度(1kmあたりの平均通過人員)は1万8237人と高水準を示しています。手原~貴生川間各駅の2019年の乗車人員数は1日あたり1万3360人で1980年比58%増になっています。沿線の宅地化が進んでいるためで、京都や大津への通勤通学に便利な点や、比較的、地価が安い点が着目されています。
今後も利便性向上への投資が実現できればまだ伸びる余地はあるかもしれません。甲西駅での行き違い設備の設置、手原~石部間などでの新駅設置、複線化などの構想がありますが、具体化していないのが現状です。
建築系鉄道ファンには聖地的な路線
さて、草津線は来年で135周年を迎えますが、歴史があるゆえに鉄道遺産が豊富に残る路線でもあります。ポイントを2点紹介しましょう。
まずは、明治半ばに掘削されたトンネルなどの構造物。関西鉄道は、三雲駅の西側に、3つの天井川トンネルを掘削しました。
滋賀県は、川底が周囲の地面よりも高くなった天井川が多い地域です。土砂が蓄積して洪水が起きるのを防ぐべく堤防を高くしているうちに、人家よりも高い位置に川が流れるようになったのです。
現存しているのは大砂川トンネル1か所です。三雲駅から草津行き電車で西へ2kmほど行くと、大砂川の築堤の下を潜り抜けます。14.5mの短いトンネルですが、石材とレンガで構築された外観は開業時の面影をよく残しています。すぐ近くには、同じ大砂川の下を潜る道路トンネルの大沙川隧道、通称「吉永のマンボ」もあります。1884(明治17)年築造で、現役の石造道路トンネルでは日本最古と言われています。
また、三雲~貴生川間には明治期以来のレンガ造りのアーチ橋が2つあり、国分橋梁の坑門には関西鉄道の社紋が刻まれています。これも国内では珍しい存在です。
阿下喜
地味だと思っているのは東京人だから。
そもそも「東海道本線草津駅」って時点でアウト。