まるで空飛ぶエイ! 「超異形ジェット旅客機」米で開発進む 実はメリットだらけの革新設計とは

パリ航空ショーに出展しているアメリカのスタートアップ企業が、翼と胴体が一体化し、まるでエイのような形状をもつユニークな「混合翼」のジェット旅客機を開発中です。どのようなメリットがあるのでしょうか。

「混合翼の民間機」実はメリットたくさん?

 フランスのル・ブルジェ空港で開催されているパリ航空ショーで、アメリカのスタートアップ企業「JetZero」が出展しています。同社は現在、ユニークな形状をもつ民間ジェット機を開発中です。この機は、翼と胴体が一体化し、まるでエイのような形状をもつ「混合翼」の形態をとっているのです。これにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

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JetZeroが開発を進めている「混合翼」の民間機(画像:JetZero公式サイトより)。

 JetZeroによると、混合翼設計の採用で“胴体も翼の役割を担う”ことができるために、空力特性を向上できるといいます。これにより小さいエンジンでも飛行が可能になり、その結果、燃料消費量と排出量を現行の一般的な旅客機と比較して、半分に削減することができるとしています。

 胴体も現代の旅客機のような筒型ではないことから、客室の面積を広げることができ、乗員・乗客の居住性もアップするほか、手荷物の収納スペースも大型化するとのこと。また、客室内の通路を増やせることなどから、ターンアラウンドタイム(到着から折り返し便出発までの時間)も削減できるとしています。なお、客室窓は機体側部だけでなく、客室天井部にも設置し、横に広い客室設計ゆえに「窓側が少ない」というデメリットに対応します。

 また、この機は胴体そのものの設計だけではなく、エンジンの設置場所もユニークです。胴体最後部の上にエンジンを載せるような形状となっているのです。先述のとおりエンジンそのものも小型化できることに加え、この設計の採用で騒音がかなり低減できるとしています。

 では機体サイズは小さいかというと、そうでもなく、既存の滑走路や搭乗口をそのまま活用できる大きさだそう。国際航空メディア「AVIATIONWEEK」によると、約5000ノーティカルマイル(約9260km)の航続距離をもち、最大250名の乗客を乗せることができるとのことです。

 なお、JetZeroではこの旅客機タイプを派生させ、民間貨物機タイプ、空中給油機タイプの開発も視野にいれているそうです。旅客機タイプのデビューは、最速で2030年を予定しているといいます。

 ちなみに、混合翼を民間機に採用する案はエアバスやボンバルディアといった大手航空機メーカーでも開発・研究が進められています。もしかするとこの形状が、未来の旅客機のスタンダードとなるかもしれません。

【了】

【画像】客室広っ!異形の新型民間機の全貌や機内

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