高低差1m未満…!?「短すぎるエレベーター」駅に最近増えたワケ わずか3秒で"上の階"に到着

駅にあるエレベーターのなかで、階段6~8段分くらいしかない、移動高低差が極端に小さいものを最近よく見かけます。なぜこんなエレベーターが増えているのでしょうか。

「スロープで十分」とはいかないワケ

 駅にあるエレベーターのなかで、階段6~8段分くらいしかない、移動高低差が極端に小さいものを最近よく見かけます。

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JR恵比寿駅のエレベーター(乗りものニュース編集部撮影)。

 JR高田馬場駅の早稲田口改札を出た先に、6段ほどの階段も脇に小さなエレベーターが設置されています。エレベーター自身の「腰の高さ」くらいまでしか昇り降りせず、ドアが閉まってわずか数秒で「次の階」に到着することになります。ほかにも恵比寿駅西口をはじめ、都内や郊外の駅でも徐々に数を増やしてきています。

 なぜこんな「短すぎるエレベーター」が生まれるのでしょうか。実はこれまで、バリアフリーとはいっても、入口からホームまで完全に車いすを転がすだけで移動できるケースはそう多くありませんでした。せっかくエレベーターがあっても、入口から改札までに数段分の階段があれば、そこを通るには駅員や周囲の人に助けてもらう必要があったのです。

 そんな中途半端な状態を変えるべく、いわゆる「改正バリアフリー法」が生まれ、駅施設のバリアフリーには明確なガイドラインも定められました。さらに2021年、鉄道運賃にバリアフリー整備にかかる費用を上乗せできる「鉄道駅バリアフリー料金制度」が開始。ホームドアの設置などさまざまな危険・不自由の解消とともに「とにかく駅の段差を無くそう」という社会の動きになっています。

 そのため、わずかな段差でも車いすは自力で超えることができないため、「6段分だけのエレベーター」も当然必要となってくるわけです。「スロープでいいんじゃないの?」という疑問を持つ人がいるかもしれませんが、実はそういうわけにもいかないのです。

 スロープの設置にも基準があり、同法では「勾配12分の1以下」となっています。つまり高さ1mを上るスロープの長さは、水平距離で12m以上必要になります。十分なスペースがあれば「何度か折り返す」形で緩やかなスロープを設置するのが安上がりですが、それ以外の場合は省スペースであるエレベーターが採用される傾向にあります。

 全国の鉄道事業者がいわゆる「バリアフリー上乗せ運賃」を導入していくなか、こうしたミニ高低差のエレベーターは見慣れた光景になっていくかもしれません。

【了】

【画像】え、もう着いた!? 短すぎるエレベーター

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コメント

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1件のコメント

  1. ホームドアが簡素化したように、こういう装置も簡素化・低価格化して色んな場所に設置して欲しいものです。